『なぜ、デンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか』その3
コペンハーゲン市では、随分古くから、貧困対策にも力を入れている。1799年に「コペンハーゲン貧困救済計画」が公布されている。この計画では、「貧困局は自活できない者に対する救済義務を負う」「貧困者の救済は社会の義務」と貧困者に対して衣食住医を保護することが公的責任だと認めているのだという。
コペンハーゲン市が導入した「貧困救済計画」は7項目からなっています。
①高齢者や病人など、自力では生活できない人たちへの衣食住の保証や高齢者住宅の確保と病院での介護
②病人への医療施設での治療及び介護などの際、貧困者は無料
③コペンハーゲン市を行政区に分け、その区毎に貧困局から医師1名を派遣し、病人や疾病者の監督看護にあたる。
④貧困者の妊婦を救済するため、助産婦の無料往診の実施
⑤貧困者家庭の児童の保護と就学への支援策として幼稚園や学校への入園入学支援の実施など
⑥事故や病気で借金が増え、生活保護を受けなければならないと見做した家族や個人に対し、再起を図るための施策として、抵当に入った物件の回収や給与の前払い策の導入
⑦失業者対策として貧困局が独自に起業し雇用を確保し、民間会社への就業においては、給与の補填を実施する
この7つの社会福祉政策の基本支援策は、現在でも通用する施策で、政策立案者の見識の高さに驚かされます。
1803年にはデンマーク全土を対象とした「貧困計画」が実施され、政府は「貧困計画」を施行するため「貧困局」を開設して、高齢者や疾病者への介護と医療を受け持つようになりました。(P.148-149)
日本では、生活保護の水準を上げるどころか、他の低所得者層との比較により、生活保護の水準を下げることが平等だと考えるような施策がまかりとおってしまっている。なんという違いなのだろうか。
本書全体を通して、タイトルと同様の「どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか」を繰り返し考えさせられた。
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