労働について考える。
今日は労働問題を中心に仕事をされている弁護士さん(笹山尚人さん)のお話を聞いてきた。「労働法制の改悪と雇用の崩壊」というタイトルでのお話で、印象に残ったことを書いておく。
はじめに、実態として、青年層が低賃金化していることを指摘された。格差についても、年収で中間層(150万円から399万円)が減少しており、それの上と下が増えているという。
非「正規」社員が減っていることは、随分言われてきているが、貧困が広がることによって、人間としての最低限の生活が喪失している。具体的には、医療を受けられない、結婚できない、子どもを産めない、学業上の困難といった状況が生まれる。働いているのに貧困な人=「ワーキング・プア」がいながら、大もうけする人や企業がある。
企業から過酷な状況で働かされている青年の事例をいくつか説明された後、これらが起こっている理由と提起される問題について解説があった。
理由として大きいのは、「使用者が法令を守ろうとしないこと」と「法の規制の範囲外で起こっていること。とりわけ、非正規雇用者ゆえの悲劇」と指摘された。
労働基準法は、刑事法であり、すなわち、違反すれば罰則が与えられる法令であるにもかかわらず、違反が横行している。それは、なぜかと言えば、対象が法の規制の範囲外になりがちな非「正規」労働者であることが多いことがまず挙げられる。それから、法の範囲内の労働者に対しても、本来、違反を取り締まるための機関であるはずの労働基準監督署がさまざまな別の仕事に追われることで、本来もっとも重要な業務の1つである違反企業の捜査をする余裕がないということなのだ。
笹山弁護士曰く、「法律をよりよく改正していくことも重要なことだが、現実的には、現在すでにある法令を遵守させることで、かなりの労働面での問題はよくなる」のだそうだ。そして、そのためには、現在、なかなか取締りにまで余力のない労働基準監督署の人員を増やしていくことで、法令を守らせる、違反者は適切に罰するということをやっていくことが大切なのだ。
グローバル化が進展していくなかで、いかに労働者の権利を減らしつつ都合よく使っていくかを生き残りの戦略のように考える使用者と、そうさせないようにする労働運動側の思惑との力関係で、将来の労働法制が決定されていくのではないだろうか。まともに生活できる、というだけでなく、継続して働き続けられる労働時間を守っていけるような使用者の働かせ方を考えなくては、労働者の働き方に明るい未来はなかなか来ないのではないだろうか。
国際競争力を保ちつつ、労働者にとってもハッピーなwin-winの労働について、実現可能なしくみ作りがより一層求められている。
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