「サキヨミ」(2008.7.20)を見て。
昨夜の「サキヨミ」(フジテレビ、毎週日曜、22:00~)を視聴した。ブログ整理をしつつ聞いていたのと、録画もしないで一度見たきりなので、記憶違いなどもあるかもしれないが、覚えている限りで考えたことを書いておく。
昨夜の内容は、「救急車の不適切利用」「15歳の中学生の娘が父を刺殺した事件」「原油高騰が生活に与える影響」といった3つだった。
「迷惑119番」の話題について感じたこと。
救急車をいわばタクシー代わりに利用する人が増えてきているという。読売新聞の調査(救急車を足代わりに利用、全国で増加…読売調査(2008.6.23))によれば、「昨年1年間の救急出動件数の5割は軽症者の搬送」だとか。困るのは、第一には本当に命にかかわるかのようなコール(呼び出し)に迅速に対応できなくなることだ。もう一つは、救急搬送にかかる費用の問題。ここで初めて知ったのだが、救急搬送を1回頼むと約4万円かかるという。
日本では救急車を利用するのに利用者は費用負担をもとめられない。そのために、実際には緊急ではないのに気軽に救急車を呼んでしまう人が出てきてしまうのではないか。現在のように無料ではなく、いくらかの負担をもとめてはどうかという話になった。無料であるのは、世界では例外的なことなのだという。そこで、諸外国の例にならって、日本でも救急車の利用を有料化してはどうかという論点が出てくる。これに対して、勝間さんは「(具体的な金額は別に検討することにしても)まずは有料化するとどうなるかやってみてはどうかと思う」と主張なさっていた。それに対して、別のコメンテーターらからは「有料にすると、救急搬送が本当に必要な人の中から、費用負担をできない所得層が排除されてしまうのではないか。自力で行こうとして手遅れになったりすることはないか」との懸念が出された。
たしかウエンツさんだったと思うが、「救急搬送にかかる費用が4万円もするなど知っている人は少ないと思う。これを知らせていけば、これまで気軽に使っていた人も自粛するようになるのではないか。少なくとも、大したこともないのに頻繁にコールをすることが、こういう問題を招いていることを(こういった番組などででも)取り上げて広く知らせていくようにすることが大切だ」とおっしゃっていた。
番組を見る前にも、この問題については新聞などでの報道を目にしたことのあったのだけども、ウエンツさんの言うように、このことはまだそんなに広くは知られていないと思う。有料化の是非の議論は必要だが、知らせることで気軽に使う人が減っていくのであれば、まずはそれを試してみてもよいかもしれない。
有料化について、「まずは試してみて、どうかを見てみる」と主張する勝間さんと、「有料化してしまうと、低所得者の人は使えなくなってしまうかも」と懸念を述べる方々とのあいだで、議論があまりうまくかみ合っていないような印象があった。それがなぜなのか、時間が短いことのほかに、おそらく、次のような前提があるのではないかと思う。
つまり、勝間さんには「試してみてダメなら、また別の方法を試すべく、すぐにでも変更したり無料化に戻せばよいのではないか(そんなの簡単)」という前提があるのに対し、別のコメンテーターらは「有料化してしまえば、取り返しがつかないことになってしまうのではないか(一度始めたことを変更したり修正したり廃止したりすることは容易ではない)」との前提から出発しているためではないか。
実際、一度決まったものを実行してみてあまりうまくいっていないからといってすぐに廃止したり変更したりすることに、私たちの社会はなじみが薄い(そういう意味では、後期高齢者医療制度は異例のことだったと思う)。施行前に十分に準備をしてはじめるのだが、実施されると「間違いが起こるはずがない」を前提にしている。変更するにも廃止するにもなぜか非常に時間がかかる。そして、失敗を失敗と認めることもできない。
勝間さんの前提は、その逆になっている。「新しい試みに失敗はつきものだ。事前に十分な準備をすることは否定しないけれども、始めてみておかしいと思えば、失敗を失敗として認め、何が悪かったのかを検証し、再度新しい計画を実施してみればよい。経験からしか学べない」というようなことなのではないだろうか。
昨夜の勝間さんの主張は、勝間さんの前提をある程度は理解している人にとっては、「やってみなければわからない。まずはやってみればよい」の含意はわかることなのだろうけれども、そこだけを聞く人にとっては、場合によっては、「そんなに簡単に言ってしまっていいのか」と誤解や反感を招きやすいのではないかと危惧を覚えた。
本当に限られた持ち時間では、十分に思いを伝えることはむずかしいと思う。前述したことは、当然ご本人もご承知だろう。
それにしても、少し前のTBS「ブロードキャスター」にゲスト出演されたときと比較して、かなり場慣れされた印象を受けた。「サキヨミ」は山本モナさんのこともあって、第2回目に冒頭謝罪(?)をするようなことになってしまったが、結果的に宣伝になったとでも思ってよりよい情報を提供してくださればと思う。
※山本モナさんについては、事情をよく知らないものの、山本さんに対する非難の声ばかりが大きく聞こえてくるような気がしている。全世界が敵のように思えるかもしれないが、そう思っていない人もここにいることを知ってもらえるといいのだが。とくに、『AERA』のインタビューは楽しく拝見していただけに、連載の中止(休止?)は残念でならない。
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