『ダイバーシティ』。その2
ここにも書いたように、山口一男さんの新刊書を予約して楽しみにして待っていた。
土曜日の夕方、標記の書籍が配達された。どういう内容なのか、楽しみにしていた。ファンタジーと大学での教育の様子を取り入れたものだった。
日曜日に読了したのだが、いくつか感想を書いておく。
まず、ファンタジーは、なかなか楽しめた。ミナという若い女性の冒険物語とでも言うのだろうか。ミナは航海士になり、ひとりで魔法使いカズのいる島に出かけていく。島についたら、場所場所に関門があって、選択を間違うとカズには会えないかもしれない。その困難を乗り越えていく話だ。
その話の中に、社会学理論や論理学など社会科学の知識が織り込まれている。ミナは、島の住民の謎かけを論理的に解きながらカズのいる城に向かって道を進んでいく。
普段、ファンタジーを読むことはほぼない。よって、このファンタジーが「ファンタジーとしてどうか」については、私にはわからない。しかし、旅の途中でのミナの心情には非常に共感できる部分がある。これは、私がミナに近いというようなことではなく、おそらく、この物語がもつ普遍性のためではないかと思う。それらは、社会学のテーマにもなっている。ミナの、人と違う自分のとらえ方、親に対する思い、孤独はどういう構造をもつものか、などなど、深く考えさせられることが多く、ミナの悲しみの描写には身につまされるものもあった。
このファンタジーは、ダイバーシティの重要さについて、ミナがわかることで、読者である私たちにもそれを教える。非常に論理的なファンタジーだと思う。こんな言い方をすると、著者は怒られるだろうか。
(つづく)
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えふさん、ありがとう。いただいた『ダイバーシティ』の感想、特にミナの心が理解できることで、読者にダイバーシティの意味が伝わるというところ、そのことはまさに著者の意図したことです。「怒る」どころか、そういう風に読んでくださった読者がいたことを知り、こういう物語を書いて良かったと思えるし、感謝します。
投稿: 山口一男 | 2008年7月16日 (水) 13時41分
山口一男さん、コメントありがとうございます。
著者に直接読んでいただけるだけでなく、コメントまでいただけるとは感激です。
このようなマイナーなブログでも、ウェブ上に公開することで、思いがけない経験につながるのですね。
自分が読んだ書籍の感想を、著者ご本人にお伝えすることができ、応答してもらえるということは、「大きなこと」だとわかりました。「大きなこと」はもう少し時間をかけないと明確には表現できないようなのですけども。
投稿: えふ | 2008年7月17日 (木) 08時28分