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2008年8月23日 (土)

『論争 日本のワーク・ライフ・バランス』を読んで。その3

ここからのつづき)

論争日本のワーク・ライフ・バランス

 第3セッション「少子化対策とワーク・ライフ・バランス:経済的発想の功罪」では、池本美香さんと権丈英子さんが報告されている。

 子どもをもち育てながら仕事を続けるためには、保育所の利用が欠かせない条件となっているのだが、では保育所を利用できれば、できるだけ朝早くから夜遅くまで利用して、仕事に打ち込める社会が、私たちが望んでいる社会の姿なのか。それを、二人の論者は私たちに問いかけておられる。

 池本さんは、「少子化対策におけるワーク・ライフ・バランスへの期待」と題した報告のなかで、これまでの(90年代の)少子化対策に対する違和感を率直に述べている。それは、「男性並みに女性が働けるようにするという形での対策」だったということだ。それまでは、むしろ、専業主婦がよいとされていたが、90年代に入り、女性には働きつつ子どもも生んでほしいという要請が高まっていく。こうした経済的な側面の議論が中心になってきたことに対し、池本さんは、違う側面からの対策も必要だと主張している。 

 いっぽう、権丈さんは「ワーク・ライフ・バランス:経済的発想の功罪」と題した報告で、ワーク・ライフ・バランスには大きく2つの参考にすべきアプローチがあると言われる。1つは企業経営上のメリットという観点からの企業主導のアプローチ(アメリカ型)、もう1つは公共政策として国・地方自治体が中心となって進めていくアプローチ(ヨーロッパ型)である。
 一番共感できたのは、

ただ、日本の少子化対策において、まだ改善できる点は残っていると考えます。育児休業制度をより柔軟に利用できるようにすること、保育所のあり方を見直すこと、さらには、働き方に柔軟性を持たせることなど、それぞれの施策について検討することもありますし、関連する(家族)政策全体を考えてみることも大切だと思います。

 育児休業制度がなく、産休のみしか与えられていない立場にいて保育所に入れることができる(かもしれない)点にわずかな望みを抱いて産休に入った人たちが、保育所に入れることができないで、職場復帰することができないで困っている。そのうち、使える有休や限度内での欠勤も含めて最大努力しても、有期雇用だと契約期限が来てしまうことも考えられる。ここの制度だけでなく、全体に整合性のつくような制度設計を考えなければ、今でも「仕事か子どもか」の世界を生きている女性たちはたくさんいる。

 育児休業制度を利用できる立場にいても、どのくらいの女性がきちんと職場に復帰できているのだろうか。先日、女性の育児休業取得割合の目標値80%は達成したというニュースを聞いたのだが、これはこのうちどのくらいが復帰したのかという情報はなかったように思う。取得はできても、制度が利用できる期限を過ぎたら退社せざるをえなかったということもあるだろうから、その辺のデータが知りたい(自分で調べればよいのだけど)。

 池本さんの男女ともに必要な「子育てをする権利」は、「子育てをする義務」を女性だけに課そうとする発想とは明確に違うように思う。しかし、そのようには読まない/読めない人も多いかもしれない。

 さまざまな制度や慣行と、人びとのライフスタイルや価値観に「柔軟性」が欠けており、これが非常に大切なのだと思う。

 このセッションを読んで思い出した論文がある。

『家族問題研究年報No.30』(2005年)論文「子育て支援サービスを提供するという経験について」(松木洋人) ここに一部分紹介。

 これは、子育て支援をする立場の人にインタビューをし、「子ども」カテゴリーが二重性をもつことを明らかにしたものなのだが、中に、長時間保育によって、子育てサービスを提供する側の、子どもが親と過ごす時間をあまりもてないことが本当にいいことなのかどうかという疑問が紹介されている。子育て支援をしたいと思いつつ、しかし、それが親の過剰な長時間労働を助けるためだけのものであるならば(もちろん、支援はそれだけでないのだけども)、何のためのサービスなのかという疑問を感じるのもよくわかる気がする。

【補完情報】「乳幼児期の教育・保育制度のあり方 ~諸外国の政策動向をふまえて」と題された池本さんの講演録(ここ)とプレゼンテーション資料(ここ)とコメンテータの厚生労働省の朝川さん(ここ)も読める。

まとめとして、以下の政策を提言します。池本さんの講演から)

  • すべてのゼロ歳児家庭を対象に育児休業給付を公平に配分。認可外保育園を利用している1~2歳児に対しても公平に補助を与える。
  • 3歳以上の幼児教育の無償化。
  • 乳幼児期教育に対する公的投資の引き上げ。
  • 事業主の負担増による財源確保。「子育て基金」としての透明性のある会計。

ここにつづく)

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コメント

えふさん、いつもブログを拝見し、いろいろ勉強させてもらっています。えふさんの書評に、その本の著者さんがコメントを寄せていたりして、本当にスゴイ!!
私も、来春2度目の育休復帰を控えているのですが、1度目の復帰で大変だったところを、少しでも改善できれば…と思い、復帰後の勤務形態等について考えているので、この本の「働き方に柔軟性を持たせる施策…」など、とても興味深く、読みたいです。
ところで、ブログの作り方について教えて下さい。
ココログベーシックプランなのですが、えふさんのように、本文中に本の表紙を貼り、アマゾンにリンクさせるやり方を教えて下さい。
アマゾンには登録済みで、マイリストにはできるのですが…。
こんなことを質問するのは大変失礼かと思いましたが、調べてもどうしてもわからないので、もしお時間が許せば、お願いします。

ふぁるさん、コメントありがとうございます。

 少しでもお役に立てているかもしれないことを知ることはとても嬉しいです。

 著者ご本人からのコメントは、私がすごいというよりも、著者がすごいと思います。

 育休からの復帰が順調にいくといいですね。そのために参考になりそうな情報があると思います。ご自分でもお探しかと思いますが、状況にあった勤務形態が選べるとよいですね。

 本文中に本の表紙を貼る方法ですが、簡単です。まず、amazonで本を検索して、そのページに行きます。そうすると、左に表紙の写真がありますよね。その画像の上で右クリックをしてコピー。その後、ブログの入力画面の本文のところにカーソルを置いて右クリックしペーストします。
 このとき、「セキュリティ情報」がポップアップされますが、Yesを選ぶと、本文中に写真が貼りついたことが確認できます。試してみてください。

えふさん
  しばらく移動していてコメントできませんでしたが、第3セッションへの書評をありがとう。池本さん、
権丈さんの両者の議論に配慮したバランスのとれた書評だと思います。またRIETIでの池本講演
資料にもリンクしてくださってありがとう。
  残すところよいよ第4セッションですね。楽しみです。私が読んでるのでちょっと、やりにくいもしれませんが。
山口一男

山口一男さん、お忙しい中、コメントありがとうございます。

 はい、次はやっと第4セッションです。ご期待に添えるかどうかわかりませんが、今の仕事に一応の区切りをつけたら、アップしたいと思います。

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