RIETIでの勝間さん講演録。
ここに先日行われた勝間和代さんのご講演「長時間労働からの脱出」を聞いたことを書いたが、それよりも前に同様の内容でREITIでもご講演なさっていた講演録がここでも読め、かつ、当日のプレゼンテーション資料も公開されている。この情報をキャッチしていたのはもうずいぶん前だったのだけども、ブログにアップするのを忘れていた。
本講演は、REITIに招聘されておられた山口一男さんが勝間さんをお呼びになったのだと思うのだが、勝間さんのご講演のあとに、山口さんのコメントがあり、その部分も特によいのでお薦めである。これは、先日の講演にはなかったところ。対象が明確に限定されているところでのものなので、少し専門的な用語の使用もあるが、一般の日本語リテラシーがある人なら読んでわからないことはないと思う。論旨も明確でわかりやすい。
山口コメントで興味深いのは、勝間さん主宰の「ムギ畑」を、「市民社会化の成功例」=「公共性をもつ集合財」との認識だ。それから、フリーライダー問題にも成功しているとの認識、それが「合理的利他主義」に通じるというご指摘もおもしろい。
以下、山口コメントで、興味深い部分。
日本では女性の労働生産性が賃金と同様に低いという分析がありますが、私はそれは女性の賃金を低く抑えるから生産性も下げてしまうのであって、女性活用について不合理であり、これはわが国の企業が女性人材の活用を真剣に考えてきない証拠でもあると考えています。
私の分析では少子化に関しては、第1子へのハードルが企業のワークライフバランス施策の遅れ、第2子へのハードルが夫の非協力による否定的育児体験、第3子へのハードルが経済問題となっています。
これは、先日の勝間さんの講演でも、言及されていました。なるほど、そうなのか、と思ったので印象に残っている。
補完的な議論として、私は更に、「投資時間」を増やすためには「浪費時間」を減らすことが重要で、また「時間の消費(緊急性があり重要な時間使用)」の質を高めるには「空費時間」を減らすことが重要と考えます。これは、時間帯に拘束性のある「浪費時間」を減らせば、同様に時間帯に拘束性のある「消費時間」には振り向けにくく、拘束性の少ない「投資時間」に回しやすいこと、また時間の「空費」は「楽しいことは前倒しに、義務は後回し」にする「双曲割引」傾向をもつ「中毒的」時間使用の人に多く見られるので、空費は緊急性もあり重要な「消費時間」を「後回し」することになり、結局「やっつけ仕事」を生みだし、「消費時間」の質を下げると思われるからです。
この部分は、自戒をこめて眺めるために。初めて読んだときに、一番心に残った部分のような気がする。
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えふさん。今度は勝間さんの講演の討論の紹介と、色々と読んで紹介してくださりありがとう。最後の「空費」の部分は私自身も自戒をこめたコメントでした。
千葉敦子さんの本、私も昔読みました。やはり胸が痛むところがありました。明日「熱帯」の東京に戻ります。
投稿: 山口一男 | 2008年8月 9日 (土) 02時20分
山口さん、コメントありがとうございます。
千葉敦子さんの本、お読みでしたか。彼女は80年代に、現在でも十分通用するような発想をしておられたと思います。女性のための仕事術や生活管理の仕方を若い女性に伝えたり、収入の何%かは寄付するなどをすでに実践されていました。乳がんの予防啓発のための活動なども、斬新な方法でアピールされたと思います。いま、時代がやっと追いついたような感があります。
投稿: えふ | 2008年8月 9日 (土) 23時06分