ピカソとアネット・メサジェ:聖と俗の使者たち展。その2
(その1からのつづき)
ミッドタウンにあるサントリー美術館でピカソを満喫した後、今後は六本木ヒルズのほうにある森美術館に向かいました。出かけから降っていた雨はまだ降り続いており、ちょうど森美術館の建物に入るときなどには、もっとも強くなっていたのでした。
森美術館は52階にあるのですが、そこから展望室にもつながっており、晴れていれば屋上に出ることもできるそうです。チケット売り場では、「この雨なので、展望室には行けるけども眺望は悪いと思いますし、屋上には出られませんが、それでもよろしいですか」と聞かれました。
アネット・メサジェのことは、これまで全く知りませんでした。フランスの女性アーティストで不思議な作品を創り出しておられる方です。たまたま「おもしろい展示会のお知らせ」として情報を入手したので行ってみようかと思ったのでした。ゲージュツのことはよくわからないものの、これまでの少ない経験からは、「女性アーティスト&現代アート&絵だけでない」との条件を満たしているものは、結構おもしろく鑑賞できたような気がしていたのですが、今回もその条件がそれなりに私には適用できることがわかりました。
作品は、この上の写真にあるように、毛糸、布、ぬいぐるみなどを使って作られているものが多く、写真や剥製や蜜ろうなども材料として使われていました。最初に、小動物(鳥やリスなど)の頭にぬいぐるみの顔をかぶせて覆面にしているものが数十も天井から吊るされている作品がありました。剥製は伏せた鏡の乗せられているので、下から見上げて鑑賞しようとすると、下から見上げた自分の顔を見ることができました。
次の作品が私が一番気になったものでした。部屋のように区切られたスペースの壁や床にさまざまなものが配置されているのですが、それを見る側にも壁があり、いくつかの四角く切り取られた穴が開けられています。鑑賞者は、壁の穴から覗かなければなりません。いくつかある穴の高さが、私には低かったり高かったりするので、かがんだり背伸びしたりして一生懸命中の様子を伺ったのですが、日常で生活していてこんなに堂々と壁の向こうを覗くことなどあまりないので、それが楽しかったのでした。
大がかりな作品もいくつもあり、ひとつは赤い布で覆われた部屋があり、奥の部屋から手前の部屋に空気を送ることによって布が膨らんだりしぼんだりするものは、子宮の中の血液の様子を表現しているのだそうでした。別のものは、大きなぬいぐるみにつけられた糸を電動で巻くことで部屋をぬいぐるみが移動するようなもので、いったい何がしたいのかはよくわかりませんでしたが。
作者本人へのインタビュー映像なども観ることができ、ご本人が意図を教えてくれたりしました。
気になった点は、使われているぬいぐるみがどれも一様に古くて汚そうなものだったことです。素材という点では、あまりぬいぐるみや毛糸や網などは私の好みではありませんでした。が、覗いてみる作品が2つあり、これが私はよかったです。
その後、外には出られないけども展望室に行ってみようと思いました。行くとあんなに激しく降っていたと思っていたのに止んでおり、外も明るくなってそれなりに眺望も楽しめました。もちろん、すごく遠くまで見通せたわけではないのですが、予想外にくっきりとしていたのでした。
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