今日は、最近赤ちゃんの権利団体を設立なさった「日本赤ちゃんを大切にしようの会」の代表の方にインタビューしました。
えふ:今日はよろしくお願いします。「赤ちゃん」とお呼びしてもいいですか?
赤さん:初対面ですから、「赤さん」と呼んでいただけますか。
え:失礼しました。では、赤さん、今回の団体の設立趣旨を簡単にお話いただけますか。
赤:はい、何から話せばよいか。あたちは生まれてから先日1000日ほど過ぎたところなのでちゅが、世の中が生まれる赤ちゃんが少ないことを深刻な問題として捉えていることをちりまちた。そこで、微力ながら、あたちたち赤ちゃんの立場でできることを考え提言なども行っていこうということで、団体の設立に至ったというわけでしゅ。
え:たったそれだけの人生キャリアでよくこんなに豊富な語彙をお持ちですね。
赤:ありがとうでちゅ。生まれる前も、胎内である程度のことは聞きかじっていたので。それほどでもないでしゅけど。
え:ほおお、胎内でも学習されていたのですか。
赤:はい、意外と時間があるんですよ、やることもないでしゅし。暗くて視界もないですから、聴き耳をたてることくらいしか楽しみもありませんでした。生まれてからは、やたらといろいろやることがあるので、なかなか時間がとれません。
え:生まれてから後のことですが、普段はだいたいどういうことをされているのですか。
赤:もっとも多くを占めるのは、眠るために割かねばならない時間でしゅ。大人とは比較にならないほど、代謝が盛んで日々大きくなる方向に進んでいるため、疲れも相当なんですよ。
え:なるほど。眠るのも仕事ですね。
赤:はい、次に時間がかかるのは、食事でしょうか。一度にたくさん食べられないのと、口が小さいのですぐに食べこぼしてしまうんですよ。上手に食べさせるのも慣れるまではむずかしいので、母が口の周りを拭いてくれたり、テーブルを片づけたり、冷ましてくれるのを待ってゆっくりといただくとすぐに時間が経ってしまうのです。
え:大人のようには、ササッと済ませることができないのですね。
赤:そうなんです。それに、大人のように、忙しいからと適当に済ますわけにもいかないのです。だって、これからものすごく大きくならないといけないのですから。
え:そうですね。そうすると、睡眠と食事で一日の大半が過ぎてしまうという感じでしょうか。
赤:はい、あとは、母に連れられてどこかに出かけたりもします。ただ、これも、大人が連れ立って出かけるのとは違い、あたちだけでなく赤ちゃん世話セットとバギーなども持ち歩かなければならず、そんなに速くは移動できないので、やはり、時間がかかります。
え:ああ、確かにいろいろ荷物がありますもんね。お母さんも自分の持ち物も持たなければならないですしね。
赤:あたちが自分で歩いて荷物も持てるといいんですけどね。まだ、歩くのもおぼつかないので。
え:いやあ、赤さんはそんなこと考えなくてもいいですよ。お母さんに頼っておけばいいのではないですか。心配しなくても。
赤:そうできるといいんでちゅが、母は、あたちの母だけでなくよそのお母さんも、ちょっと出かけるだけで、あたちたちを連れていくと、とっても疲れてしまうみたいなんで、なんか、あたちの存在って負担なんじゃないかと。
え:そんなことを考えているんですか。
赤:ただ、最近は、赤ちゃん連れの母親がふらっと立ち寄れる公共施設に「赤ちゃん・ふらっと」(ここ)とつけているところが出てきました。
え:「赤ちゃん・ふらっと」ですか。それは、どういうことができる施設なのですか。
赤:趣旨は、赤ちゃん連れのお母さんたちが赤ちゃんを連れたまま気軽に立ち寄れる休憩場所ということで、そこでは赤ちゃんに授乳したりおむつを替えたりといったことができることになっているんですよ。
え:ほう。
赤:東京都だと、都立の公共施設にはステッカー表示があるところがありましゅよ。他の地域はちらないのですが。
え:なるほど、赤ちゃん連れお母さんになかなかフレンドリーな施策ですね。
赤:そうですね。ただ、ちょっと赤ちゃんの立場として言わせてもらえば、つまらないのでしゅ。
え:つまらない?それは、どういうことですか?
赤:あたちたちは、月齢によっても個人差が大きいのでちゅけども、小さい子は一日のほとんどを仰向けで暮らしていましゅ。
え:そうですねぇ…。???
赤:天井が白なんですよ。つまんないんでちゅ。
え:ああ、「赤ちゃんふらっと」の施設の天井が何も描かれていない白いものなので、常に仰向けで上を見ていなくてはならない赤ちゃんには退屈だということですか。
赤:そうなのでしゅ。母が家に閉じこもらず、大変でもあたちを連れて外出し、ママ友と仲良くふらっとに寄って楽しく話しているのは、あたちも賛成なんでしゅよ。だけど、歓談の間、ずっと上を見ているのはつまらなかったのでちた。もうあたちくらいの年齢になれば、座ることも十分にできまちゅので、「天井つまらない問題」はそんなに大きなことではなくなったのでちゅが。
え:そんなこと、考えたことありませんでしたよ。そうすると、小さくて、まだ仰向けにしかいられない赤ちゃんが、そういう施設で泣いているのをときどき見かけることがあるのですが、あれは、「つまんないよう」って意味だったんでしょうかね。
赤:はい、「お腹が空いた」とか「眠くて不愉快だ」というようなこともありますけども、「天井が白くてつまんない。あたちをかまえ」って意味だったりすることもあるのでちゅ。そこのところは、聞きわけるのはプロでもむずかしいかもちれませんが。
え:そうすると、「日本赤ちゃんを大切にしようの会」では、公共施設に対し、「天井に赤ちゃんが退屈をまぎらわすための絵を描いてほしい」と要望していくおつもりなのですね。
赤:はい、それも考えています。天井画も子どもだましのようなものではなく、芸術的観点からも評価できるようなレベルの高いものを望みます。赤ちゃんでもよいものはわかるのでちゅから。このことは、あたちたち赤ちゃんが身勝手だと思ってほしくないのですが。赤ちゃんが泣く頻度が下がれば、母たちは周囲に気兼ねする頻度が下がり、出かけることによって疲れる度合いも減り、子育ての苦労が少なくなると思うのでちゅよ。
え:そうすると、すでに子どもがいるおうちでも、もっと子どもがいてもいいかもと思えるようになるということでちゅか?
赤:そうでちゅ。えふしゃん、赤ちゃん言葉になっていまちゅよ。
え:ははは、うつってちまいまちた(笑)。天井に赤ちゃんが楽しめる絵を描くことは、少子化が進展するのを防ぐ効果も期待できるということなんですね。そして、芸術を理解する美的感覚も涵養できると。すばらしい。新しい視点です。感心しました。
赤:ありがとう。えへ。あたちも赤ちゃんのうちにできることをやっておきたいので、あまり時間がありまちぇんが、できることから要望していきまちゅので、今後ともよろちくね。
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