政策評価・独立行政法人評価委員会答申、おもしろいです。
11月26日付で「政策評価・独立行政法人評価委員会の答申」が発表されていました。ここに総務省が作成した報道資料のPDFがあります。
政策評価は、基本的には各所管省庁の自己評価なのですが、とくに重要とされる分野については、「政策評価の重要対象分野」として経済財政諮問会議が提示し、総務大臣が推進することになっているそうです。PDFの最初のページに書いてあります。
今回の発表は昨年度に対してのものですが、興味深かったのは、育休取得割合の評価を所管である厚生労働省は女性の取得率が89%(H19年度)としているのですけども、評価では、「育児休業取得率では、継続就業を希望しながら退職を余儀なくされている女性数全体とその充足状況は、測ることができないため、それらの把握が必要」と指摘しています。あたりまえのことですが、こういうふうに公式に指摘することはとても重要なことだと思われました。
◇仕事を持っている女性の約7割は、出産を機に退職。うち約3割は継続就業を希望
◇育児休業を利用して仕事を続けている女性の割合は着実に増加。しかし、継続就業率は過去20年間ほとんど変化なし
◇継続就業の環境が必ずしも整っていない非正規雇用者は増加。例えば子育て期に当たる25歳から34歳までの女性労働者の約4割は非正規雇用者
2点目の「継続就業率は過去20年間ほとんど変化なし」のところに、感慨深いものがありますね。この20年間、何をしていたのでしょうか、私たちは。私は赤ちゃんでしたけど(嘘)。
ワーク・ライフ・バランスの政策課題をめぐる状況としては、
◇労働者全体の総実労働時間は減少傾向
◇パート労働者を除く労働者の所定外労働時間が6年連続で上昇(平成13年度155時間→19年度192時間)
◇過労死等の労災支給決定件数も増加傾向(平成15年度314件→19年度392件)
だそうです。
(内閣府)
◆少子化社会対策の普及・啓発のためのシンポジウ
ム参加者数などの数値目標を達成
*「家族・地域の絆の再生に関するシンポジウム」の参加者数326人(目標200人)
↑に関しては、
◆世論調査の結果では、ワーク・ライフ・バランスの国民認知度は1割に満たないため、国民の認知度を基にした評価が必要
と指摘しています。なんだか、とってもまともですね。国民認知度については、私も以前にどっかで取り上げた気がしますが、ありました(ここ)。
単なる批判ではなく、「自己評価」に対して、評価の仕方に対する疑問を具体的に提示している点が、なかなかよろしいのではないかと思いました。そんなことよりも、現実がもっと早めに変わることのほうがもっと望ましいのですけども、欲張りですか?
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えふさん
現実が変わることが何より大事。100%同意です。人々の暮らしに影響がなけらば答申に何の意味もありません。ただこれらWLB問題で政府の姿勢は最近「とってもまとも」なので(WLB施策賛同者が内閣府・総務省・厚生労働省・経済産業省など縦割り行政を超えておられるからだと思います)、それを追い風にして民間が変わっていく道筋を示すことだと思います。総務省答申資料の情報ありがとう。さっそくファイルしました。
投稿: 山口一男 | 2008年11月30日 (日) 00時49分
山口一男さん
「100%同意」ありがとうございます。それと、「答申」の資料もお役に立ったのであれば、嬉しいです。
投稿: えふ | 2008年12月 1日 (月) 23時25分