トビウオはすごいです、魚なのに。
トビウオをよく食す地域に生まれ育ったことも大いに関係あるのでしょうが、トビウオが好きです。食べるのも、飛ぶのを見るのも。トビウオ経験のうち、9割以上は食べることなのですけども、一度実際に飛んでいるのを見たことがあります。あれは、すごいです。まだ、観たことのない方は、「生きているうちに一度はしておきたいリスト」にエントリーなさることをお薦めします。
私が見たのは、隠岐の島に出かけた際に乗ったフェリーの上からでした。甲板に出て海面を眺めていると、トビウオたちが次々と飛んで逃げる様子が観察されました。もう10年以上も前のことになりましたが、あれは素敵でしたねぇ。トビウオは慌てふためいて逃げておられるのですけども。
その後、しばらくは、私の中で(飛んでいる)トビウオ(を見たい)ブームがあり、水族館などでアシカやイルカのショーの他にも、トビウオが水槽から水槽へと飛び移るショーなどをしてはどうかという事業計画なども思い浮かべてはいたのですが、実現にうつせないままブームが終息しておりました。
先日、2回にわたってNHKでトビウオのすごさを取り上げる番組がやっておりました。1つは、(ここ)にあるように、トビウオとそれを食す文化圏の人たちの暮らしを取り上げて紹介するもので、もう1つは日曜日の19時半より毎週やっているらしい「ダーウィンが来た!」(ここ)という生きものの生態を詳しく解説してくれる30分ほどのものです。
トビウオは、他のアジアの国でも相当好かれている受難の魚で、あちこちで工夫を凝らした漁が行われているようです。ある国では、トビウオのことをすごい魚だと称えておられるとか。南国の人の感性に共感を覚えました。だいたい、魚なのに、飛んでみようと思ったことがすごい。自己概念に対する固定観念をやすやすとクリアされています。最初に飛んでみようと思ったトビウオの先祖が、もし、「魚なんだから、飛べるわけがない」と自分自身の可能性を否定するような考え方であれば、今日の繁栄はなかったと思います。決めつけない態度は、人間でなくとも、大切なのですね。
トビウオの身は食べるけれども、卵は捨てていたらしい人々も、日本でトビコとして食すことがわかると、日本向けの輸出品として卵を採り乾燥させて商品に加工されるようになったのだそうです。トビコは軍艦巻などにして、寿司としてよく見かけるものですね。
ダーウィンのほうは、人とのかかわりや文化圏的な要素よりも、もっとトビウオの生態や能力に焦点を当てた番組構成になっておりました。もさもさのおじ(い)さん(?)(名前がわかりません)がいつも解説してくれるようですけども、それがなかなかいい味を出しています。
冒頭で屋久島は屋久杉が有名だが、トビウオについても名産でシンボルとしても島のあちこちにイラストなどが描かれていること、ここで水揚げされる魚の8割はトビウオだということが説明されます。数種類の海流の交差点である屋久島沖ではトビウオも暮らしやすいのでしょう。
すごいのは、トビウオの飛ぶ能力です。平均でも50メートルくらい、高さは3メートルくらいも飛べるらしいのですが、番組取材中に世界記録になるのではないかと思われるくらい長時間長距離飛ぶトビウオの映像が紹介されていました。これは、映像を観る価値があると思います。また、飛んでいる途中でも尾で水面を蹴るような動作をして、さらなる推進力としていることなど、はじめて知ることもけっこうありました。以前から、トビウオの尾びれの二つに割れた上下のうち、なぜ下のほうが大きいのかが疑問だったのですが、もしかすると、飛んでいる最中に水面を蹴ったりする際に、下側だけを使うので、大きいのかもしれないと思いました。本当のところは、言及がありませんでしたけども。知りたいですねぇ。
そもそも、なぜ飛ぶことにしたのかですが、肉食で天敵であるシイラから逃げるためだとか。シイラは、変な形の魚ですが、トビウオとこんなところで深いつながりがあったとは知りませんでした。
古くからトビウオを捕まえている漁師さんたちは、トビウオの習性をよく研究して漁にも工夫をされていました。
そんなこんなで、大変興味深く楽しく拝見しました。
東京にはトビウオを刺身にして食す習慣がないように思うのですが、久々にトビウオの刺身とトビウオを使ったかまぼこ(あご野焼)などが食べたくなりました。生は流通の関係でむずかしくても、トビウオをイワシのように丸干しにして出汁をとるときに使うような干物もあるので、そんなのも久々に見たいです。干して縮んでも、あの長いヒレはたたまれた状態で見ることができます。
おおっ!本日再放送があるようです。
11月4日(火) 午後3時00分~3時30分 |
「トビウオ大飛行!」 |
11月4日(火)深夜【5日午前】 3時00分~3時30分 |
「トビウオ大飛行!」 |
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