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2009年2月 5日 (木)

「父親の仕事と子育て応援シンポジウム~ワーク・ライフ・バランス(WLB)支援は、企業と社会の明日への投資~」聴いてきました。

 ここでご紹介しましたように、本日は「父親の仕事と子育て応援シンポジウム~ワーク・ライフ・バランス(WLB)支援は、企業と社会の明日への投資~」でした。話を聞いてきました。

 『「父親のワーク・ライフ・バランス」ハンドブック』も印刷されまして、本日の参加者には配布されました。PDFでも公開されていますが(ここ)、冊子が欲しければ3月31日までに連絡すればくださるようです。

 この冊子は、先日ご紹介した『父親ハンドブック2008』(ここ)と同系列のもののような気がします。ただし、WLBの部分が強調されているところが相違点でしょうか。さすがに、今年度の厚労省委託事業「男性の仕事と育児の両立意識啓発事業」で作成されただけはありますね。

 シンポジウムは大きく3つのパートから成っていました。最初に20分程度の佐藤博樹さんによる基調講演、次に佐藤さんコーディネートによるパネルディスカッション①。ここでは、2つの企業の担当者からそれぞれの会社での制度の説明などがあり、JEC連合という大きな連合のなかの産別組合をやっている方からの報告、そして、厚生労働省の課長さんの話でした。

 ここまでは、まぁ、よくある男女共同参画系のシンポの構成でした。内容についても、私にとってはさほど目新しい情報はありませんでした。あ、もちろん、よろしいお話でしたけども、どの方も。

 休憩を挟んだ3つ目の部分が今日のハイライトでしたね、私にとっては、ですけども。内容は、最近この業界で引っ張りだこのファザーリング・ジャパンの代表安藤さんと、ご自分で作った会社にまでワーク・ライフバランスの名をつけておられる小室淑恵さんをコーディネーターに、現役子育て世代の男性で育児休業を取った2人の方、管理職者として壇上に上がられた2人の男性という構成でのパネル・ディスカッション②でした。

 おそらく10年くらい前までは男性で育児にかなりの程度かかわる方というのは、いわゆる特殊な職業の男性、たとえば、自由業(作家の方など)や研究者など、比較的裁量労働的に働いている方で奇特な方がなさるようなものだった印象があります。が、本日登壇なさった方も、ハンドブックに体験記を寄せておられる方々(全部で9つのケースを紹介)も、もっとマジョリティである一般的なサラリーマンなのです。その辺りが遅々として進まないと言いながらも、少しずつ男性が育児休業をとることが広がっているのだと思いました。

 育児休業をとった男性ご本人がそのことによって、どのような経験をしたのか、それによってどのように認識を改めたのか、それが復帰後の仕事にいかにプラスになったのかなどを実感をもって語られたのは非常に説得力があることだと思いました。このようなお話を直接聞く機会をもつと、これまでなかった男性の育児休業取得のロールモデルが提示されるので、今後子育てをする可能性のある男性たちにとっても、選択肢の1つとして考慮対象になるのではないかと思います。

 以前、勝間和代さんと西原理恵子さんの毎日新聞紙上対談で、女性が夫に言われてもっとも腹が立つ言葉が家事に関して「手伝おうか?」という当事者意識の欠如であるという点を興味深いと書きましたが(ここ)、それが本日は男性たちから同様の言葉が聞かれました。これも、興味深かったです。それと、育児休業を取得して妻は働いている男性が子育ての孤独さのためにやつれてしまっている事例などの紹介もあり、「性別ではなく、誰でもひとりで子育てをすれば、孤独になる」とおっしゃったのもよかったですね。当たり前ですけどね。なかなか理解されにくい面なのかもしれません。

 さらに、かなり貴重な機会だと思ったのは、直接の取得者ご本人だけでなく、男性管理職の方が来て、お話になったことでした。お話は非常によかったのですけども、それも、その企業ではうまく行っているからだと言えるかもしれません。それでも、管理職、とくに男性だと部下の男性たちは申し出る前にあれこれとダメだと言われるのではないかという想像をしてなかなか言い出しにくいようなのですが(実際、体験者のおひとりはそうおっしゃっていました)、言いだしてみるとすんなりと通ったり、申し出たのが2ヶ月だったのに、管理職男性のほうが「どうせなら4か月取ってみたら?」と薦めたりしたというのを聞いて、先進的な企業ではかなり管理職者の感覚も進んでいるのだと思いました。

 とくに、管理職登壇者の1人で、ハンドブックにも体験記を寄せておられる石井さん(ケース9「17年間家族の朝食と娘のお弁当作り」)(ここ)は大人気でした。何が人気なのかよくわかりませんが、家事をしてこられた経緯や、自己紹介のスライドにお弁当の写真などがあったり、買い物のコツを披露なさったりするご発言のたびに、なんだか和やかな雰囲気に包まれました。お人柄もそのような方のように思いました。「時間意識」を厳しくもつ、とおっしゃっているのは、非常に共感しました。自分の時間も他の人の時間も同様に大切にすべきという思想の方がマネジメントをなさると、ダラダラ会議とかがなくなっていいと思います。

 会場は東京ウィメンズプラザという女性センターの約250名定員のホールでしたが、申込みはお断りをするほどの人気で、満席の盛況ぶりでした。こういう場所(=女性センター)で男女共同参画関連のイベントがあると、多くの場合、フロアは女性のほうが多いのですけども(それも、どちらかと言えば、あまり若い人はいない)、このシンポはざっと見た印象では、過半数が男性、それもスーツを着てきた方々が目立つ珍しい風景となっていました。推測ですが、会社の育児休業を担当するような部署の方が業務時間内に参加なさっていたのではないかと思われます。

 どのようなテーマでもそうなのですが、参加費無料とはいえ、基本的に自主的に参加する人は、こういう趣旨に親和的な方がほとんどです。本当は、あまり前向きに賛成しないような、とくに管理職の方などが聴いてくださるとよいのでしょうけども。まぁ、そういう方向けには、企業に出張していって研修などを開いてもらう方法があり、実際になさっているとは思うのですが。

 今日のような話は、あちこちで開いて、実際に取得可能性の高い男性たちの取得ハードルを下げるような効果があるとよいですね。

 来週9日は同じ会場で、今度は内閣府のWLBシンポがあります。今日聞いた話では、本日時点ですでに申込み多数で断られたそうです。まぁ、間違いなく参加するためには情報を入手した時点ですかさず申し込まないとダメですよね。そういうことで、期待も高いし、当日もきっと盛況でしょう。私は残念ながらこちらには行けないのですが、有意義な時間になることを祈ります。

【追記 2009.2.8】

 上記では、主にパネル・ディスカッション②についての簡単な感想を書きましたが、私にとって新鮮な部分だけを書いたので、前半部分も少し記録しておきます。

(基調講演)「なぜ、企業による男性社員の子育て支援が必要か」(20分ほど)
 佐藤博樹氏の講演は、以下のようなことでした。ここ10年ほどで人々の意識が変わり、男女とも仕事も生活も両立したい希望をもつ人が増えてきている。男性社員の子育て参加は多様であってよいが、育児休業取得をするのも1つのあり方で、男性社員の希望を実現する方策でもある。今後は男女ともに時間の制約のある社員が増えることを前提とした「ライフスタイル・フレンドリー」な職場がもとめられている。男性の育児休業取得者が増えない理由について、正確に把握することが大切。取得希望者が一定数存在するのにもかかわらず、男性をいまだに「例外的」存在と見なしていること(制度・意識)。それが女性と比較して男性の取得ハードルを高くしていることへの理解が必要。妻も後押しするのが望ましい。現状のように比較的短期の取得だと女性の場合よりも実は取得しやすい(仕事の調整がしやすい)。企業と管理職の意識改革も。正確な情報提供。育児休業のほかの多様な子育て参加モデルの提示が必要だ。

(パネル・ディスカッション①)「男性社員の子育て支援をどう進めるか」
 佐藤氏をコーディネーターに、男性社員の子育て支援を行っている2つの企業の取組みの報告、連合傘下の労働組合の取組みの報告、育児休業制度の所管官庁である厚生労働省の課長さんの報告。それぞれの報告後、佐藤氏の簡単な質問があり、さらに全体の終了後、全体への質疑などがありました。

 最初の報告は、(株)東芝での取組みで、昨年読売新聞に掲載された広報インタビューで社長が男性の育児を「当たり前になるように」との発言が紹介され、全社をあげて取り組んでいること、「参加」ではなく「参画」であると認識していることを強調されていました。とくに、興味深かったのは、男性の育児休職には、①配偶者のハードル、②親族のハードル、③世間体のハードル、④会社のハードルの計4つのハードルがあるというものでした。会社としては①~③は男性本人に自力で乗り越えてもらうしかないが、④については低くするよう取り組んでいるということで、具体的には、両立支援制度を充実させていること、対象を専業主婦の夫にも開放していること、メリハリのある働き方(WLB)の実現に取り組んでいることなど。それらを周知徹底するために広報活動にも力を入れているそうです(管理職が取得した事例を掲載したところ、大きな反響があった)。特徴的なのは、全国43ヶ所で役職者説明会を開催し、男性が育児に参画することの大切さを説いている点。しかし、制度を充実させても活用されなければ意味がないので、どのようにすれば会社として生産性を維持しつつ、あるいは、上がるようにしながら、WLBを実現していくかを課題として、全社員を対象とした働き方を見直しているところ。効率的な仕事のためには、チームワークと目標の明確化が必要で、「仕事が効率的に進められている」と思っている社員はこれら2つにも「そう思う」と回答しているそうです。

 次の報告は、日立TC(テクニカルコミュニケーションズ)。1989年に設立されたが、設立時の社員(30%)および管理職(0%)の女性比率が、実力本位で採用を繰り返すうちに現在は社員(52%)で女性が過半数、管理職も3分の1強(36%)になっているのだそうです。育児や介護などに関わる制度は法定どおりだが、制度がどんなにすばらしく整っていても実際には活用できないのでは意味がないと考え、法定どおりでも活用されるように推進することに力を入れている。結果として、制度利用率が高く、離職率は低い。男性の子育て支援策については、配偶者が専業主婦でも取得可能になっている。今後の課題は、なかなか取得しない男性の育児休職を高めていくこと。

  連合の産業別組合であるJEC連合では、男女共同参画社会の実現を目的に、そのインフラとしてWLB(両立支援)、その具体的目標の1つを「男性の育児参加」と位置づけている。連合主催の「井戸端会議」を開催し、女性たちの本音を聞きだしニーズの把握している。「働くママ」は会社で働いているとき、夫などは妻は家事・育児をしていないと思っており、家庭(地域)で働いているとき、会社の人(男性)は女性は(会社の)仕事をしていないと思っている。これを、韓国のアイドルグループ「東方神起」(とうほうしんき)に喩え、実際には、女性は家庭(地域)でも会社でも休みなく働いているのだと解説し、男性の働き方は「ぬるい!!」と結論されたところでフロアが沸いた。

 厚労省の課長さんの話は、日本社会がWLBを実現する必要があることを、主に育児休業の面から説明された。基本は配布資料のとおり。

20081128nhbbs000_28

 やはり、このグラフの紹介はあり、配布資料にもありました(ここ2の右下)。ここでのタイトルは「夫の家事・育児時間が長いほど、第2子以降の出生割合が高い」となっていますが。

 厚労省課長さんの配布資料は、公の資料を考えられるので、全体を紹介してもいいと思います。ただ、1つのファイルにまとめることができないので、5つ分割になっていますが…。

ここ1 ここ2 ここ3 

ここ4 ここ5

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コメント

えふさん
  なかなか良いシンポジウムだったようで、良かったです。報告と感想をありがとう。ところで、男性の育児参加(WLB)と少子化の関係というのは議論されたのでしょうか。もちろん男性の育児参加はそれ自体家庭内における男女の平等、協働、の推進ということでよいのですが。僕も夫の育児参加が夫婦関係満足度を大きくい高めることについても実証しています。
  でも僕は少子化対策としての意味もおおきいし、その事実をもっと知らしめることも、「男が育児なんて」と反応する保守的な層に訴えるにはとても大切だ思うのです。例えば、以下のサイトの日経の岩田三代さんの記事です。僕の研究のことも伝えてくださっていますが、見ていただきたいのはこの記事の表ですね。男性の家事育児時間と2子目以後の出生率の関係ですが、一目瞭然です。こういう強烈な事実を、もっと知らせる必要があり、今後僕もこの点をもっと強調していきたいと思います。
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/iwata/20081128nhbbs000_28.html

山口一男さん

 コメント&ご質問ありがとうございます。
 日経のウェブ記事についても、お知らせくださりありがとうございます。

 シンポの報告は、私にとって新鮮だったところだけを簡単に紹介しただけですから、他の部分を割愛していますが、ご指摘の男性のWLBと少子化の関係についてはおっしゃる表を用いて、厚労省の課長さんがおっしゃっていたような気がします。配布資料が今手元にないので、記憶だけに頼っていますが、この表は紹介があったと思います(明日、確認してみますが)。

 さらに、小室さんがご自分や周囲の女性たちの生の声を紹介する形で、第1子の子育てを夫(男性)が全くあるいはきわめて限定的にしか関与しないことで、女性にとっての初めての子育て体験をトラウマ的なものにしてしまい「絶対2人目は無理」と思わせ、それを後輩女性たちに伝えることで、少子化を進めてしまう、といった趣旨のことをおっしゃっていました。

 子どもを女性だけで、あるいは男性だけで、あるいはカップルだけで育てられるという認識を改めて気持ちだけでなく制度も制度が活用できるような環境も含めて作り、できるし支援すると声を大にして言い続けないと、とても大変で最初から無理そう、と思うと思います。数日前の新聞記事でも、たしか20代対象の調査結果で、そんな内容のものを読みました。これも手元にないので、うろ覚えですけど。

 元の記事に、追記しました。ご指摘の表は配布資料にもありました。口頭でも説明なさっていました(配布資料を全部説明するだけの時間がなかったので、途中割愛されたところもありましたけど)。

 昨日のコメントの新聞記事については、先ほど今日(2月8日)に簡単に記しました。

えふさん 
   追加記事をありがとう。情報が表不になりました厚生労働省の報告者は定塚由美子氏だったのですね。以前内閣府男女共同参画局推進課長をされていた方です。この問題に積極的にかかわっている公務員の中堅リーダーの一人です。公務員の人事異動は今までと全く別の仕事に就くというケースが多いのですが、彼女の場合はキャリアが見事につながっているようですね。良いことだと思います。

えふさん
  ワープロミスが残っていました。「表不」は「豊富」と書いたつもりでした。

山口一男さん

 ありがとうございます。
 そうなんです、定塚さんは以前そのポストにおられました。私も同様の感想を持ちました。

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