何を食べて、そうなったのですか?
えふ:あのう、すみませんが…
ウサギ:ん?
え:ウサギさんですよね?
ウ:うん
え:やっぱり、そうですか。
ウ:やっぱりって、どこから見ても、ウサギでしょう?
え:いや、まぁ、形はそうかもしれませんけども
ウ:なぁに?遠慮なく言ってよ。
え:はい、じゃあ、お言葉に甘えて
ウ:うん
え:私がこれまで見かけたことのあるウサギさんは、もっと
ウ:もっと?
え:はい、もっと、小さめというか
ウ:ボクはそんなに大きくないよ。
え:えっ?
ウ:ウサギの中では、大きいかもしれないけど
え:はい、とっても大きいと思いますが
ウ:だけど、中型犬くらいだよ。
え:体重が10キロもあれば、もう相当大きいですよ。
ウ:そうかなぁ?
え:米を10キロの袋で買うと、持ちかえるまでに泣きたくなりますよ?
ウ:アンタ、米、10キロの袋で買うの?
え:いえ、買いませんけど。
ウ:???
え:いえ、まぁ、喩えですよ。日本では、米の重さで何かを言ったりすることが、ままあるんですよ。
ウ:ふ~ん
え:ウサギさんは、ジャイアント・ラビットという種類なのですね?
ウ:うん、偉大なウサギってことだよ。
え:「大きい」では?
ウ:偉大!
え:そうでしたか…、それでは、偉大なウサギさん
ウ:なに?
え:どうすれば、そんな風に大きくなれるんですか?
ウ:まぁ、基本をしっかりやることだよ
え:というと?
ウ:ご飯をばらんすよく食べて、適度な運動に適度な睡眠だね。
え:はぁ
ウ:何か納得していないみたいだけど?
え:はい、なにしろ、ウサギさんは草食動物でいらっしゃるのではないかと思いまして
ウ:そうだよ
え:では、食事をバランスよく、というのは、どういう意味ですか?
ウ:植物性の餌のなかでも、いろいろあるからね。好き嫌いしないで、どれも食べるってことだよ。
え:なるほど、しかし
ウ:まだ、疑問があるの?
え:はい、なにしろ、「基本」は他のもっと小さいウサギさんも実践されているように思うんですが、小さいままです。
ウ:まぁ、個人差はあるよね。食べても、垂直方向には伸びず、水平方向にだけ膨らむ人とかね。
え:う、あの、人間のことは、今はいいんですけども
ウ:あ、ごめんね、皮肉じゃなくってさ
え:ウサギさんのご家族はみなさん、その大きさなのですか?
ウ:うん、今のところはね。
え:今のところ?
ウ:今後、子孫がもっと大きく改良される可能性はあるってことさ。
え:改良ですか、それは、何のためですか?
ウ:あのねぇ、ボクたちに偉大なウサギってついているのは、食糧難で国民は困っている将軍様の国に、食糧として出荷するためなんだよ。
え:そ、そうなんですか。
ウ:うん、こんなに大きいと、毛皮も服にするのに便利だしね。なにしろ、将軍様の国は食べ物も少ないし、燃料も少ないからね。
え:あの、聞きにくいんですが
ウ:なに?
え:ウサギさんも、出荷されて、毛皮や肉を人間に提供なさるのですか?
ウ:う~ん、いやだけどね。
え:だけど?
ウ:でも、ウサギの身では、他にすることもないしね。
え:……
ウ:あ、だけど、ニュースにはなったよ。
え:はい、それで私も知りました。
ウ:それで、飢えて寒い国の人のためになれば
え:え~
ウ:…じゃあ、ウサギとして、生きている意味は何だと思うの?
え:う、そんな哲学的な疑問を投げかけられましても
ウ:この毛皮はぬくいし、手触りもいいよ。
え:はい、おまけに、生きているウサギさんごとだと、あったかそうですよね。
ウ:まぁね、毛皮だけよりは、生身もついているほうが体温はあるからね。
え:そうですよね
ウ:まぁね。
え:生きたまま、寒い人の近くに居てあげるのはどうですかね?
ウ:だけど、お腹も空くんじゃない?
え:いや、そうですけど、食べられてしまうよりはいいのでは?
ウ:人間として、空腹に耐えられるの?
え:いや、まぁ、私は幸いにして、他の食料も手に入りますから
ウ:じゃあ、毛皮は要らないの?
え:もしよかったら、一度、寝るときに布団の横に居てもらえると。生きたままで結構ですから。
ウ:ふ~ん、アンタ、変わってるね。
え:はい、よく言われます。
ウ:そうか
え:はい
ウ:ふ~ん
え:あの、それで
ウ:まだ質問があるの?
え:はい、ダメですか?
ウ:いいよ、なに?
え:この人間の男性なんですが
ウ:あ、ウサギおじさんのこと?
え:ウサギおじさんとおっしゃるのですか?
ウ:うん、ボクらは勝手にそう呼んでいるけどね。本人は人間の名前があるよ。
え:なるほど。この方は、どういった方なんですか?
ウ:ウサギ農家の人だよ。
え:じゃあ、ウサギさんたちを世話して、出荷されるお仕事なのですか?
ウ:うん
え:なるほど
ウ:ボクらが高値で売れるとおじさんも助かるんだよ。
え:なるほど。
ウ:だから、もっと偉大になるように、がんばらないとね。
え:はぁ…
ウ:なんか、納得してないみたいだね。
え:はい、生きたままで、なんとかなりませんかねぇ。
ウ:むずかしい相談だね。
え:はい、そうかもしれませんが、そこをなんとか
ウ:そう言われてもねぇ
え:そこをなんとか、考えてもらえませんかねぇ
ウ:アンタもしつこいね。
え:すいません
ウ:まぁ、そこまで言うんなら
え:本当ですか?
ウ:うん
え:ありがとうございます。
ウ:じゃあ、毛皮や肉を提供せずに、生きたまま、人間の役に立つことがないかどうか、ちょっと考えてみるよ。
え:はい、いい考えが見つかりますように。
ウ:それにしても、アンタ、変な人だね。
え:はい、よく言われます。
ウ:じゃあね
え:はい、またお会いしましょう。
German farmer breeds bunny as big as a dog
German farmer Karl Szmolinsky holds up a grey German Giant rabbit weighing a mighty 10 kilograms - the equivalent of an average Cocker Spaniel.
Such is his success, Szmolinsky has been approached by North Korea to advise on its fledgling rabbit breeding programme.
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えふさん
この「そうぞう」のj話、いいですねえ。でも悲しい話です。せめて生きたぬいぐるみみたいなこんな愛らしい動物と人間の関係ぐらい、「毛皮を剥いで身は食用にする」などという残酷なものであってほしくないと思います。一人暮らしの人のよき伴侶になれると思うのですが。おおぐらいを大目に見れば。北朝鮮、変な国ですねえ。目のつけ所が。
投稿: 山口一男 | 2009年2月10日 (火) 02時17分
本当に悲しいですね。
より多くの毛皮と肉をとるために、よりジャイアントに改良されるうさぎさんなのでしょうか?
写真のうさぎさんの目がすべてを悟っているような目に見えました。
本来なら本当に、ペットとして人の体も心も温めてくれる存在なのに・・・
フランスの農家では(と言っても、私はフランス人でもないし、フランス在住でもないですが)普通のサイズのうさぎを家畜として飼ってて、何かの時には〆て食べるそうです。
キャットフードにも「うさぎのテリーヌ」があるくらいです。
中国では「テーブルと椅子以外の四つ足はすべて食料となる」そうで、そうなると猫も犬も?とびっくりです。韓国では犬を食べる食文化があると聞きました。
食文化はお国それぞれですが、北の人々はジャイアントうさぎに頼る前に、本当はすることがあると思うのですが・・・。でも特権階級は「そんなの関係ねぇ~~」でしょうか(古くてすいません)
投稿: miauleuse | 2009年2月10日 (火) 19時50分
えふさん、mialeuseさん
mialeuseさんがジャイアント・ラビットの眼のことを言っていたので昔ジョーン・バエズが歌っていたドナ・ドナが耳に響いてきました。以下の歌詞です。
On a wagon bound for market
There's a calf with a mournful eye.
High above him there's a swallow
Winging swiftly through the sky.
(Chorus)
How the winds are laughing
They laugh with all their might
Laugh and laugh the whole day through
And half the summer's night.
Dona, dona, dona., Dona Dona Dona..
"Stop complaining," said the farmer,
"Who told you a calf to be?
Why don't you have wings to fly with
Like the swallow so proud and free?"
(Chorus)
Calves are easily bound and slaughtered
Never knowing the reason why.
But whoever treasures freedom,
Like the swallow has learned to fly.
(Chorus)
自由って不思議な言葉です。日常使っているのに、これほど重い言葉はない。ジャイアント・ラビットにも、そして多くの未だ自由を知らない人たちにも、いつか、それを、羽ばたく鳥の羽を、届けたいものです。今はまだ遠い夢ですが。
投稿: 山口一男 | 2009年2月11日 (水) 02時25分
山口一男さん
ありがとうございます。大きく改良して、一緒に住んだり観察するために出荷されるようになればいいのに、と私も思います。が、飼うことを目的とするなら、ミニ化を進めるのでしょうから、むずかしいところです。
「目のつけ所」、たしかに変わっていますね。誰がこういう「政策」提案をするのかが気になります。
投稿: えふ | 2009年2月11日 (水) 09時35分
miauleuseさん
私は観ていないのですが、
http://side-car.at.webry.info/200811/article_20.html
で書かれていることが本当なら、日本の人たちも知らず知らずにジャイアント・ラビットを口にしていたのかもしれません。
ウサギさんの肉は、日本でも、通販で入手できるみたいです。噂では、ハムやソーセージに使われている場合もあるらしいですので、知らず知らず口にしているのかもしれないですねぇ…。
うさぎのしつけについて書いてあるサイトを見つけました。ちょっとおもしろいですが、「いい子に変身」って…。
http://www.usa-fan.net/shitukelessun.htm
投稿: えふ | 2009年2月11日 (水) 09時59分
山口一男さん
「ドナドナ」の英語詩のご紹介ありがとうございます。日本語詞でなら、たしか、小学生の頃に音楽の授業で習ったような…相当昔になってしまったので定かではありませんが。曲の調子も歌詞もなんだか暗い悲しいもので、なにゆえ、小学生にこんな歌を教えるんだろうと思うのですが、当時でも牛がと殺場に連れられて行くのは、非日常なことだったので、それを教えるためだったのかもしれません。
日本語の歌詞も悲しいです。2つのヴァージョンがあるとは知りませんでした。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hiroko.k/sukonbu/donadona.html
私が習った記憶があるのは、「荷馬車がゆれる」のほうで、「はかない命」ではありませんでした。後者はもっとかなしいですねぇ。
でも、こういう子牛の犠牲の上に生きているんですよねぇ。ときどき、ベジタリアンに「改宗」しようかと考えるんですが、いろいろな事情もあり、実現できていません。む~。
投稿: えふ | 2009年2月11日 (水) 10時07分
えふさん
すみません。説明が足りませんでした。ドナドナは反戦フォークシンガーのジョーン・バエズが歌って1960年代に有名になりましたが、歌詞も曲も作ったのはドイツ人ユダヤ教徒でナチの支配する時代でした。歌われている「子牛」は強制収容所に連れて行かれるユダヤ人の子供を意味していたと思われます。歌詞の原文はヘブライ語の一種のイェヂッシュ(ドイツのユダヤ人が主に使っていた)で書かれていました。ですから趣旨は、人、特に子供への、強制と自由の剥奪への、批判です。低開発国で、子供の人身売買や、えふさんのご承知のFGM問題などがありますが、そういう問題が未だ社会にあり子供が抑圧されていることを憂いた・悲しんだ歌と思います。日本ではその趣旨は伝わらなかったようですが。
で、ベジタリアンに改宗しなくてもいいと思いますよ。もっとも僕は子牛と子羊の肉は食べないことにしています。自己満足ですが。あ、ウサギの肉も食べません。
投稿: 山口一男 | 2009年2月12日 (木) 04時30分
山口一男さん
補足説明をありがとうございました。
すっかり、本当の子牛の歌だと今まで思い込んでいました。小学校でも、歌にそんな背景があることなど、教えていなかったと思います。
2月11日付のコメントの最後の段落の「自由」についてお書きになっているところと歌のつながりが、いまひとつよくわからなかったのですが、わかりました。
日本では、たぶん、私だけでなく、同様の誤解をしている人が少なからずいらっしゃるような気がします。小学生だと教えてもらってもなかなかむずかしい気もしますが、そういう背景を知るのは重要ですね。
昨年の終わり頃には、途上国の子どもの人身売買(臓器と性的搾取目的)をテーマにした日本映画「闇の子供たち」が私の周囲では話題になっていました。キャストに有名タレントを起用したこともあって、一般のマスコミでもよく取り上げられていたようですが。私は観ていませんが、日本社会でもこういうことに多少は関心を持つようになってきているのかもしれません。
ベジタリアン改宗問題は、もう15年くらいときどき考えていることで、なるとしても魚は食べるゆるいタイプなのですが、豆問題が克服できない現状では、なかなかままなりません。豆問題とは、獣肉を食べない代わりのタンパク源として豆類を常食しなければならないだろうが、豆はそんなに食べないので、どうしよう、という迷いのことです。
私も子牛、子羊、ウサギなどは食べません。普段、わざわざ食べようとしないと食べる機会がないというだけなのですけど。
ウサギさんの毛皮を奪った製品をひとつ、ふたつ持っています。自力で毛皮が生やせるといいのですが、そうもいかないので。でも、今度はアルパカさんの製品を買えるようにがんばりたいです(なにを?)。
投稿: えふ | 2009年2月12日 (木) 22時31分