ネットによる全文公開、歓迎すべきか警戒すべきか。
グーグルによる書籍の全文データベース化については、ここでも書いたのですけど、その後、いくつか新聞記事が出ています。2009年3月12日付産経新聞では、デメリットとして、日本国内で流通しているけれどもアメリカでは流通していない書籍であれば、ネットにより無料で全文利用できるようになってしまう点を挙げています。メリットとしては、作品や学説を広めていくことができる点だそうです(ここ)。同日付朝日新聞では、ネット公開に際しての著作権処理がかなり困難な点を説明しています。国立国会図書館では、最近、ネット上にある文書をどのように保存していくかを課題としているのですけども、著作権や書籍・公文書保存に関する法律がネット環境を想定しない時代に作られたものであるため、法改正も同時に考えなければならず、許諾問題は煩雑なようです(ここ)。
最近では、予算の削減とIT化のために、これまでなら必ず印刷物としていた中央省庁の報告書その他の文書も、PDFファイルのネット上の公開のみで、紙に印刷しないものも多くなってきたように思います。ネット環境を持てる人はまだいいのですが、そのコストを支払えない人たちは、公的機関の情報さえ入手できなくなってしまう(しまっている)恐れがあります。デジタル・ディバイド問題は、今後、さらなる格差を招くような気がするのですが、得ていない情報を認識することが難しいため、問題を認識することも難しいような気がして、この行方が気になります。
国立国会図書館といえば、『国立国会図書館 月報』を出しておられるのですけども、これは、最新刊からすぐにネットで全文公開されており、読むことができます。こういうのは、全文公開になっているといいと思うんです。少なくとも、これがすごく売れなくてもいいわけですから。最新号では、情報格差と社会経済格差のかかわりについて、館長の長尾真さんと社会学者の上野千鶴子さんとの対談がおもしろいです(ここ)。
« まんじゅうじゃないよ。 | トップページ | にゃんだは、どこだ? »
「ニュース」カテゴリの記事
- 謹賀新年(2022.01.01)
- クロスバイクを所有することにしました。(2020.04.17)
- 国有地払下げ財務省疑惑の裁判が始まります。(2020.03.19)
- 避難したくなる避難所を(2019.10.14)
- 国際女性デー。(2019.03.08)
「社会のしくみを学習。」カテゴリの記事
- 映画「グリーンブック」(2019.03.26)
- a stay-at-home parent は「手伝う」ではありません。(2018.06.22)
- 「国立大学の潰し方 (7つの行程)」が秀逸なので、紹介。(2018.06.17)
- 原爆の日(2017.08.06)
「図書館」カテゴリの記事
- 久しぶりに、読書感想(2021.09.27)
- なかなか活気がありました。国会図書館探訪。(2018.05.26)
- 武雄市図書館問題、気になりますな。(2015.08.09)
- 図書館の本を郵送で返却しました。(2015.01.11)
- 遠距離恋愛がテーマなんですかね?(2013.02.11)
コメント