公契約で、ワークライフバランスに配慮している会社に加点?
ワークライフバランスへの取組を積極的に進めている企業を優遇しようとしう制度を導入するそうです。かけ声だけでは、あまり意味がないと思いますが、このように、事業を受託したい企業に直接訴えかけるような制度の導入は、かなりな効果が期待できそうですね。
制度導入後の追跡記事も読めるといいのですが。
女性雇用率で入札優遇=内閣府 2月15日20時31分配信 時事通信
内閣府は15日、事業の入札の際に、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)に熱心な企業を優遇する制度を導入すると発表した。金額以外の要素も審査する「総合評価方式」を採用し、労働時間短縮の取り組みや女性の雇用率なども評価する。対象の第1弾はワークライフバランス関連の調査・研究事業で、4月中に入札を行う。
企業が育児などをしやすい環境を整えるよう後押しするのが狙いで、内閣府によると、政府としては初めての試み。今後、男女共同参画に関する事業にも対象を広げる予定だ。福島瑞穂消費者・少子化担当相は同日、内閣府で開かれたワークライフバランスの関係省庁会議で「政府全体に波及するよう期待している」と述べた。
入札については、「総合評価方式」と書いてありますが、これは、「一般競争入札」のうちのひとつで、他には「最低価格落札方式」があります。
「一般競争入札」のサブカテゴリーに、「総合評価(落札)方式」と「最低価格落札方式」とがあるということですね。
「最低価格落札方式」は、文字通り、最低価格で入札した企業が落札することができる、ということですが。
ただ、その前に、「入札資格」を審査することを求めている場合もありますから、事業の種類によっては、入札に参加できる資格を持っていない企業は、入札前の資格審査で断られる場合もあるし、そもそも資格審査を申し込んで行かない場合もあるということですね。
いずれにしても、このようなことを、政府が取り組むことが、ワークライフバランスや男女共同参画に関して、企業が「重要なことかも」と考えてもらえるきっかけになり、かつ、入札資格に入るとなれば、「取組を進めなければならない重要なことだ」となる、かもしれません。なるといいなぁ。
なるといいですねぇ。
以下に、大臣の記者会見要旨のうち、該当部分を貼りつけておきます。
「福島内閣府特命担当大臣記者会見要旨」@内閣府(ここ)
(平成22年2月16日(火)9:09~9:26 於:第4合同庁舎6階605号室)
1.発言要旨
おはようございます。
今日、幾つかお知らせと発表をいたします。
これは昨日の仕事と生活の調和連携推進・評価部会で申し上げたんですが、「公共調達におけるワーク・ライフ・バランスの推進」について発表をいたします。ワーク・ライフ・バランスの私は担当なんですが、まずワーク・ライフ・バランスの研究の委託をするに当たってワーク・ライフ・バランスを積極的に取り組む企業を評価しようというものです。「平成22年度仕事と生活の調和が生活に与える影響等に関する調査」の委託先の選定に当たって、入札を行う際にワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組む企業を評価するという予定です。
具体的には加点理由として、女性の雇用率、くるみんマークの取得や一般事業主行動計画の策定の有無、ノー残業デーの設定など労働時間縮減に向けた取組の有無という、この3つを今の段階では評価項目にしようと考えています。
今後のスケジュールは次のとおりで、4月の初旬に入札公告をする予定です。この案件に加えて男女共同参画の案件においても同様の取組を行う予定です。
自治体はワーク・ライフ・バランスや男女共同参画などを公共事業を受注させたりするときの加点理由、評価をするということをやっている自治体は結構あります。私自身もこのワーク・ライフ・バランスの担当としてさまざまな自治体からヒアリングを受けました。福島県、兵庫県などは先進的で、兵庫県はワーク・ライフ・バランスと男女共同参画をそれぞれ項目を立てて、それを入札の際の加点理由にする、要するに優遇する。例えば5点とか10点とかという形で優遇をすると。そうしますと、企業は公共事業を受注したいわけですから、一生懸命取り組むということで具体的に効果が上がるというものです。前鳥取県知事の片山さんとも話をしたときがありまして、鳥取でも取り組んだとおっしゃっていました。そうすると、地元の建設会社などは対応が変わると。やはり何回も何回も女性の雇用率やってくださいとか、労働時間短縮に取り組んでください、あるいは自治体によっては非正規雇用の均等待遇というのがあって、「これは何ですか」とある自治体に聞いたら、「福利厚生を正社員と同じにしていること」というのを項目に挙げている。さまざま入札のときこれを項目としますと伝えますから、自治体によっても違うんですが、そうすると本当に鳥取でも自治体の建設会社の雇用条件とか、対応が全く変わるということを聞いて、大変おもしろい試みだと思っていました。
私自身もアメリカではアファーマティブ・アクション、ポジティブ・アクションと言われるもので黒人、有色人種の人、あるいは女性、マイノリティーなどの雇用をどれだけやっているかなどを公共事業を受注させるときに、公共事業の金額に応じて書類の中身が違ったりしますけれども、やはりどれだけちゃんと取り組んでいるかということを公共事業を受注させるときのさまざまな要件にしたり、加点理由にしていると。それは諸外国ではあったわけです。日本では自治体では取り組んできたんですが、実はだから内閣府で私のところで本邦、国政初です。国で初めて今回この案件に関して加点理由にしていく、考慮するという公共調達におけるワーク・ライフ・バランスの推進についてということで早速、国レベルで初めて私のところでスタートをします。同友会や商工会議所や企業にいろいろ話をしにいくことがあります、ワーク・ライフ・バランスや子育て支援で。それも大事なんですが、こういうことが広がっていくと、絶対に企業の職場環境が変わると確信をしています。今日閣議、懇談会において「まずこういうことを始めるので、各役所でもぜひよろしくお願いします」とあいさつをしました。終わった後、前原大臣に「国土交通省など大きい影響を与えますからぜひよろしくお願いします」と申し上げたんですね。まず内閣府の私のところから始めて、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスを実現している企業をやはり優遇することで企業の中の働き方を大きく変えようと思っています。これは国政では初です。今までは会計法からいかがかとか、何か障壁になるんじゃないかとか、いろいろ議論があったんですが、部局と会計課などにきちんと検討していただいて可能であると。加点理由でこういう形だったら可能ではないかというのを十分検討していただいて、初めてこれを国政レベルでやります。ワーク・ライフ・バランスの業務委託をする相手のワーク・ライフ・バランス状況を加点理由とするということになりましたので、あと男女共同参画局においてもやりますので、私自身の野望としては、これが国政のさまざまな役所に広がっていけば日本の社会は変わると思っております。
(後略)
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えふさん
これは良いですね。内閣府以外にも広がるといいのですが。
投稿: 山口一男 | 2010年2月18日 (木) 06時38分
山口一男さん
はい、よいことですね。予算規模の大きな省庁に広がると、より効果があると思います。
プライバシーマークの取得とか、ISOなどの取得も、入札資格の要件になったりもするので、企業が真摯に取り組むのだろうと思われます。こういうことと同列に、WLBとかも扱われるといいのですが。
CSRなどの充実にも、影響を与えるといいですよね。
投稿: えふ | 2010年2月22日 (月) 23時45分