『就業構造基本調査・国民生活基本調査の特別集計報告書』、最近、公表されたようです。
内閣府の生活困難を抱える男女に関する検討会の委員である阿部 彩氏、小杉 礼子氏、白波瀬 佐和子氏による「就業構造基本調査」「国民生活基礎調査」の特別集計・分析の結果をとりまとめたそうで、「分析は主に、貧困等の生活困難の状況、雇用の状況等についての男女別の比較が中心」ということです。
報告書は、ここで、全体で194ページあります。
特別集計の目的
新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女に関する諸課題は、男女共同参画社会の形成を促進する上で基礎となる重要な課題であることから、男女共同参画会議では、平成20 年6 月から重点的に監視・影響調査を実施した(注)。
「生活困難を抱える男女に関する検討会」は上記監視・影響調査を実施するにあたり、男女共同参画会議並びに監視・影響調査専門調査会の審議の基礎資料とするための専門的な調査分析を実施することを目的として、学識経験者の参集を求めて平成20 年9 月から開催されたものである。
本報告書は「生活困難を抱える男女に関する検討会」において、生活困難の状況や雇用の状況等について、主に男女別の比較を中心とした分析を行うために、同検討会委員の阿部 彩氏、小杉 礼子氏、白波瀬 佐和子氏により、政府が実施する統計調査(「就業構造基本調査」「国民生活基礎調査」)を特別集計した内容を報告するものである。
(注) 監視・影響調査の結果は「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女に関する監視・影響調査報告書」として平成21 年11 月26 日に公表した(ここ)。
また同日、男女共同参画会議は同報告書をもとに、生活困難を抱える人々を支援するため、政府に取組を求める意見を決定した(ここ)。
目次は以下です。
- 目 次 -
<就業構造基本調査 特別集計>
Ⅰ.経済的困難を抱える非典型世帯の増大:ひとり暮らしとひとり親世帯に着目して
( 白波瀬 佐和子 委員 )
Ⅱ.若い女性の職業キャリアと貧困問題( 小杉 礼子 委員 )
<国民生活基礎調査 特別集計>
Ⅲ.日本の貧困の動向と社会経済階層による健康格差の状況( 阿部 彩 委員 )
Ⅳ.データ集
・経済的困難を抱える非典型世帯の増大:ひとり暮らしとひとり親世帯に着目して
・若い女性の職業キャリアと貧困問題
・日本の貧困の動向と社会経済階層による健康格差の状況
Ⅴ.参考
・生活困難を抱える男女に関する検討会委員名簿・審議状況
白波瀬委員の考察の一部には大変共感しますので、転載しておきます。報告書の15頁(サムネイル21頁)です。
一人で子どもを育てる親についていうと、母子家庭の極めて厳しい経済状況が明らかになった。日本の母子家庭における就労率の高さはすでに指摘されているが、その中身は非正規である場合も少なくなく、子育て支援も十分受けることができない状況の中で、母親たちは閉塞感にさいなまれることになる。ワーキングプアの代表である母子家庭への経済的支援はもちろんのこと、子どもたちへの教育支援を同時に提供するより総合的な取り組みが必要とされている。既に高い母子家庭の母親就労率を考えると、母子家庭の経済的困難を解消するために就労支援が限定的な効果しか持ち得ないことは自明である。事実、母子家庭の就労は現時点で貧困回避として十分機能していないのである(白波瀬 2009)。現金給付と教育、医療を中心とする現物給付と連動させてひとり親世帯への支援を進めなければならない。
さらに本分析では、父子家庭も決して楽観できない状況にあることが明らかになった。特に若年家族においては貧困率も高く、たとえ二人親においても経済的困難と無縁ではない。ひとり親世帯という特定の属性をもつ家族への重点的支援に加えて、若年家族への支援としての総合的支援が求められている。
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