フランス型と米国型の折衷から、スウェーデン型と米国型の折衷を目指すべきだそうです。
日経新聞の「経済教室」は、なかなかよい記事が多いと思います。ただし、この人(=私)には難解なときもありますが、けっこう。
今回は、社会保障について、日本の現状と今後目指すべき方向性を提示されたものでした。社会保障について少しでも勉強している人にとっては基本的知識である、エスピン・アンデルセンさん(物語作家ではなく、社会学者さんです)が先進国の政策体系を3つに分類されているのですが、それが
1.自由主義レジーム(米国)・・・市場メカニズムによる分配を重視
2.社会民主主義レジーム(スウェーデン)・・・所得再分配を重視し、税制を通じた政府による所得再分配を重視
3.保守主義レジーム(フランス)・・・所得再分配を重視し、企業や家族などによる共同扶助を重視
です。
これを前提として、日本は、
○政府による所得再分配機能が弱い点で、1.に近く、
○育児・介護を家族内の支え合い、雇用保障を企業に依存する点で、3.に近い
と見なし、1.と3.の両面をもつ、とおっしゃっております。
それなのに、1.と3.がもつ強みを持っているかというと、リスクに対してうまく機能していない、と判断しています。ダメじゃん。
日本の福祉は、企業福祉と家族福祉である、と言われることもありますが、逆に言うと、企業に属さず単身者は、福祉にあずかることができず、安全網なしに綱渡りをしているのと同様ということであります。
じゃ、どうするか、ですけども、従来の「共同体」によるリスクシェアを脱却すべきだそうです。そのためには、現行のような、既存の正社員の雇用保障をやめることだそうです。これ、前にも聞いたことのある主張です。
そんなことで、記事、ぜひ、全文読んでください。
すごくいいのは、リスクを公平に分配せよ、とおっしゃっているところですね。今は、一部の弱者がリスクも不公平に背負わされております。おかしいですね。
社会における公平なリスクシェアのあり方を考えつつ、政策に活かして行っていただけないでしょうか。
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