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2011年10月16日 (日)

女性はなぜ出世しないのか、を考えてみました。その2

 ※東洋経済オンラインにアップされました(ここ)。

 その1(ここ)からのつづき。

 どうすれば、女性活用が進むのかについては、勝間和代さんに取材した記事がなかなかよかったと思います。

 勝間さんが以前から主張なさっていることですので、よく知る方にはさほど新鮮ではないかもしれません。

 ご主張のポイントは、以下のようなことです。

①女性の力を活用していないのは、世界の常識からすれば、異常で、社会的損失である。
 私立に通っていたとしても、税金が教育に投資されているので、3年や5年で仕事を辞めて家事労働にいそしむと、社会は発展しない。納税しない人に金を使っている国は破たんする。

②徐々に日本でも数値は上がっているが、他国に比べて速度が遅いため、順位は下がっていく。
 変化が遅い理由は、終身雇用、年功序列賃金という労働力に対する柔軟性がないため。
 結婚、出産で仕事を辞めた女性はなかなか復帰できず、男性は育児休暇がとれない。
 韓国のように、国が強力に推進する必要を男性も女性も感じていない。

③女性が働かないことと、男性がハードの働くことを前提とした社会制度を、性中立的に改めるべき。男女のカップルが依存関係になっている。社会構造、文化、教育の3つを変える必要がある。組み合わせて同時に。

④女性を雇用するだけではダメ。投資してリーダー的能力をつけさせ、管理職にさせなければならない。
 現在は、管理職となるべき母集団に乏しい。まず、管理職候補の女性をたくさん雇用すべき、同時に、辞めないようにする。

⑤アウトプットよりインプットを先にする。
 教育、意識などインプットから変えていくべき、アウトプット(結果)は母集団に管理職的能力をもつ女性が増えなければ伴わない。

⑥女性自身が管理職になりがたらないのは、理由のひとつが長時間労働。週40時間労働で収めるべき。
 労働時間だけではなく、単位時間当たりの付加価値という概念を導入すべき。

⑦シカゴ大学の山口一男教授は、ワーク・ライフ・バランスがしっかり取れていて、性別に関係なく能力を伸ばせる企業は収益性が高いと言っている。女性の管理職の割合が高いほうが生産性は高く、女性の正社員が多くても管理職の割合が低いとかえって生産性が落ちるそうだ。

⑧具体的には、長時間労働の規制が一番簡単。規制してしまえば、なんとかなる。クオータ制を導入し、女性を働かせないインセンティブになっている配偶者控除と配偶者特別控除を廃止する。経済合理性から進める。
 これらを一気にやる政治家が不可欠。
 控除廃止ですぐに働ける仕事がないので、徐々に減らすなどの配慮は必要。また、短時間正社員のような働き方も広める必要。

⑨長時間労働の規制は、させた上司は給料を下げる、クビにするなど罰則を与える。

⑩「ほどほど」に働けばよいという女性も、労働時間ではなく、1時間当たりの付加価値向上を目指す必要がある。

⑪企業側が無理に女性を管理職にするのではなく、周囲がしっかり支援して成功モデルを作ってほしい。それを見れば、次に続く女性が出てくるはず。

⑫女性側が心がけることは、男性と同じ学歴をつけ、男性と同じくらいのコミットメントを企業に示すこと。

⑬育休中などに、語学の勉強をするなりスキルアップを目指すべき。米国などに比べて、日本の女性は育休として休み過ぎ。アメリカ女性には子が3才まで育休をとるという発想はない。出産の1週間前まで働き、産んだら2週間くらいで職場に戻る。SOHO環境やそれを企業が推進することも重要。

⑭クオータ制は、企業にとって方向付け、流れに乗るまでという理解で、流れに乗ったらはずせばよい。

⑮女性の管理職を育てるには、どういう制度があれば辞めないのかなどを人事がもっとハンドメードで対応すればよい。

 ほぼすべてにおいて、この人(=私)は賛成です。

 特に、長時間労働は規制してみたらいいと思います。それくらい強いものをかけてみて、徐々に、長時間労働はしないことが当然、してはいけない、くらいの意識が育ってきたら、その時点で再度規制を続ける必要があるかどうか考えてもいいかもしれませんし。

 クオータ制については、期限付きで課してみるというのも、賛成ですね。勝間さんの議論をたどると、女性の管理職が少ないことの理由は、まずは、管理職になりうる女性の母集団が少なすぎるということでした。つまり、男女同数くらいで採用し、さらに、男女同数くらいで職位が上がるようなしくみがを初期はすべきでしょう。これも、10年くらいの期限付きの導入にして、結果、どうなったか検証し、次はどうするかを考えればよいと思います。

 その1でも述べましたが、努力する人を罰するようなしくみを改める必要があります。それは、効率のよい働き方をすれば、残業しないから余裕があると見なされ、仕事が進まない同僚の仕事を移されるといった罰則になっていると同様に、働いて高収入を得ようとすると、世帯収入として減ってしまうという配偶者控除、配偶者特別控除のしくみを、徐々に、段階的に廃止することですね。

 その他の社会保障についても、世帯単位から個人単位へ、子どものことを考えると難しいですが、少なくとも、夫婦は大人なので個人単位にするとよいと思います。このことで、家族の絆がなくなるようなら、それは、最初からなかったのではないかと思われます。それがはっきりわかって、せいせいした、ということになるかもしれません。いや、言いたいことは、家族の絆とかは、もっと多様なものなのだろうということです。税制にかかわらず、カップルで働き方を相談して決めればいいと思います。

 女性を管理職にしよう、増やそうという意志があれば、そのつもりで候補女性に接していくはずです。放置はダメです、ただでさえ、女性にとって不利な職場慣行がいろいろあるわけですから。
 そういう点でも、勝間さんの支援しつつ成功モデルを出すという戦略に賛成ですね。

 山口一男さんのご研究によって、女性の管理職の割合が高いほうが生産性が高く、女性正社員が多くても管理職の割合が低いとかえって生産性が低いということが実証されたことは、大きなことですね。

 この人の実感では、小さい子どもを抱えて、残業できないなどの時間的制約のある女性の上司のほうが、話が速く、要領もよく、しなくてもいいことを部下にさせない配慮も行き届いています。これは、限られた個別経験ですが、これも、仕事だけではなく生活全般において、いかに時間を上手に使うかを常に考えておられるためではないかという感じがしております。

 この人は、こういうワーキングマザーがしっかりと仕事をして、成果をあげ、より高い地位につくことを望んでいます。

 なぜなら、少なくとも、早く帰らなければならない切実さを持たない上司(男女)に比較して、格段に、この人はやりやすいのですから。

 こういう女性管理職、増えてください。

 あと、女性の敵は女性とか、そういうフィクションを広めるのは、止めましょう。

 あと、管理職については、男性だから優秀というのも、フィクションです。これは、長時間労働をしているかどうかを仕事の評価とする単純な、そして、ダメな評価のせいかもしれません。

 そんなことで、今夜はこれくらいで。

 これまでのところ、「女性はなぜ出世しないのか」についてですが、この人の見解は、「女性にとって、出世することは、ある種の罰則としての効果をもたらしているから」(それを周囲の女性が観て学び、望まないから)というのが、あるような気がします。

 また、書きたくなったら続きを書くかもしれません。
 

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コメント

えふさん

「『女性はなぜ出世しないのか』についてですが、この人の見解は、『女性にとって、出世することは、ある種の罰則としての効果をもたらしているから』

はおっしゃるとおりです。経済学者はこれを「昇進・出世の機会コストが女性には大きい」と形容するでしょう。勿論、生涯で考えたら昇進・出世の利益は、昇進・出世をすることで例えば家族を犠牲にしなければならないことのコスト(これが機会コストです)よりははるかに大きいでしょうが、短期的には機会コストが大きく感じられるのは何の不思議もありません。
  重要なのは、そういった家族への犠牲が従来家族や個人の問題とされて、省みられなかったことです。でも、実際は企業や社会が生み出しているのです。長時間労働が無く、かつ柔軟には働ければ仕事と家族の役割は両立しやすくなるし、、アメリカでは管理職の短時間勤務やジョブシャエリングも普及し、管理職のフレックスタイムはごく普通です。でも、日本企業は管理職者にそういう働き方を認めません。また企業が夫の育休などの育児参加をサポートしても、女性の子育ての機会コストは減ります。また、政府が質の良い公共保育所・託児所を増やしても、あるいはえふさんの案の様に、民間の保育所を推進しても、女性の昇進・出世の機会コストは減ります。
  ですから、女性の出世を妨げているのは、やはり日本企業の経営慣行と政府の雇用政策・家族政策の貧しさと言うことになると思います。


山口一男さん

 コメントありがとうございます。
 「機会コスト」という言葉、これまでにも目にしたことがありましたが、何かすごくよくわかりました。

 短期的な視点からは機会コストは大きく思えるが、中長期的な視点からは機会コストはさほど大きくないということは、なるほど、と思いました。

 随分前になりますが、50代で双子を持つワーキングマザーの方が、「最初は保育所に預けるための費用で、自分の収入はすべてなくなったけど、それでも、辞めずに働き続けたことは間違いではなかったと、今では思う」としみじみおっしゃっていました。

 きっと、そういうことですよね?

 ただ、これも、「どうせ収支がプラスマイナスゼロなら、自分が仕事を辞めても同じなのではないか。その分、子どもたちのために時間を使ってあげることができるのでは?」という風に考え、周囲もその考えを支持してしまう環境におり、辞めてしまった人では、言えない感慨だと思いました。

 そういう自分の心の内や、周囲の声に打ち勝って、踏ん張った人しか得られない実感の気もしますが、そういう経験談を広く発信して、今、悩むワーキングマザーへのエールとできるといいなと思いました。

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