女性はなぜ出世しないのか、を考えてみました。その1
2011年10月15日号
「女性活用」との掛け声は盛んながら、その歩みは遅い日本。女性の出世を阻むのは、女性か、男性か、それとも社会か? それぞれの観点から分析し、真の女性活用への道を探る。
商業誌ですので、売れなければならないのは至上命題でしょう。だからだと思います、たぶん、きっと。
まず、この人(=私)が驚きましたのは、最初メインタイトルだけを見たので「女性はなぜ出世しないのか」を分析しているものだと漠然と考えておりました。
実際に、雑誌を確認しましたところ、「出世する女性が少ない日本。悪いのは男か、女か」とサブタイトルらしき文言があり、感心した次第です。
目次は、以下のとおりです(特集部分のみ)。
COVER STORY
悪いのは 男?女?
女性はなぜ出世しないのか
【図解】 女性活用で置いてきぼりの日本
このままだと日本の“女活”は見果てぬ夢になる
人事担当座談会「 女性管理職が少ない理由を話そう」
|PART1|女性に問題はないのか
こんな女性社員はご勘弁! ブーイング女の4タイプ
ルール無視型/能力不足型/権利主張型/嫌われたくない型
バブル女性、氷河期女性、ゆとり女性 彼女達が出世できない理由
INTERVIEW| 三浦 展/消費社会研究家 深澤真紀/コラムニスト
娘の活躍を阻害する「保守的ママ」
|PART2|やっぱりそれでも男が悪い
女性社員300人アンケート!「女性が働きやすい職場は本当に少ない」
働き続けたい、でも…私がキャリアダウンしたワケ
女性社員座談会「早く帰るとマイナス査定、不合理な制度を変えて!」
“女活”のために──日本社会への提言
岡島悦子/プロノバ社長
吉越浩一郎/吉越事務所代表 トリンプ元社長
「優秀な女性が活躍する場を作らないと、世界との競争に勝てない」
白河桃子/ジャーナリスト
妻が働くには「夫婦戦略」! 活躍する妻の隣に理解ある夫あり
INTERVIEW| 森川友義/早稲田大学教授
女性が稼ぐ企業はここが違う
幻冬舎 ヒット連発! 女性だらけの編集部 リクルート 大変身した働く女性のメッカ
女性社員タイプ別診断 やる気を引き出す上司術
|PART3|世界はこんなに進んでいる
INTERVIEW| 勝間さん。どうしたら女性活用は進みますか?
勝間和代/経済評論家 男女共同参画会議 議員
「長時間労働をやめて、時間生産性を上げれば“女活”につながる」
【EU&ノルウェー】 欧州では北から南まで、クオータ制を導入
【韓国】 ショック療法で大変化、増える女性管理職
【中国】 夫婦共働きは当たり前、エリート層にも女性進出
INTERVIEW| ジェフリー・フェファー/スタンフォード大学ビジネススクール教授
「“権力を握る女性の法則”は米国でも日本でも同じだ」
感想を一言で言いますと、玉石混交ですね。
それで、最初のサブタイトルについて、再度。
この人が感心した主な理由ですが。
女性の社会進出や活用について考える場合に、男女の対立構図を作ってみるのは、昭和スタイルだと思っていて、平成の時代ももうすぐ四半世紀が経過しようとする23年も終わろうかというこの時期に、何かの問題の理由を「男か、女か」と仮説を立てるとは・・・。
昭和にも、生きていたこの人にとっては、懐かしい感じがいたしました。
表紙でややくじけそうになったのですが、気を取り直して、中身を拝見です。中身が大切です。編集者も、売れなければならないと真剣に考えておられ、なんとか、気を引く言葉をお使いになったのに違いありません。きっと。たぶん。
きっと、企画者や実際の取材チームの方々は、より上層の方々の理解を得て、特集を組むのが大変だったのではないでしょうか?その苦労の結果が、この工夫なんですよね!
感想を散漫に書きます。
まず、長時間労働が評価される(されている)ということに、驚きました。さっさと帰っていく人たちのことを評価するしくみを作らねばなりません。が、同時に、単に、定時に帰るだけの人のことを評価しても仕方がないですので、時間+時間の質の2つを少なくとも評価基準に取り入れるべきでしょう。
いや、ほんとうに、残業時間の長さをやる気と読み替えることって、ほんとうに、ほんとうに、今もあるんですか?
この人は、業務時間内にさっさと仕事を済ませて、さっさと帰ることこそ、評価されることかと思っておりました。
え?
あ、ぇぇ、そう、非常識でしょうかね。そうかもしれません。
はい、そう、KYも、そうかもしれません。
ついでに、世間知らずを承知で言いきってしまうと、長時間労働や常時残業スタイルの人が、質の高い仕事をしているのを、この人は見たことがありません。
ありますか?
この人が観たことがある限られたケースでは、日中は、ダラダラしているんです。で、夕方頃から、仕事をして、終電を定時を自ら定め、やっと帰ります。朝は起きられませんから、午前中は不機嫌です。そのため、対外的にも内部的にも、ピリピリして誰も午前中はよほどではない限り話しかけたりしません。
何度か上司が注意しても、変わらないので、だんだん、周囲が諦めます。
仕事が進まない分、周囲の人の分担が増えます。
そして、誰も定時では帰れなくなった・・・みたいな感じになりますね。
ええと、雑誌の特集に戻って。
女性の活用のときに、問題になるのは、家庭と子どもを持つ女性が残業できない、というところを論点としているようですが、事情がなくても、残業をしないことをすべての職員の原則にすることにしたら、どうでしょうかね?
そうすれば、残業しないワークスタイルを組織的に進める方向に行くのではないかと思います。
もちろん、小さいお子様がいらっしゃると、急な病気で急ぎ迎えに行かなくてはならないこともありましょうが。それは、今、大人になった方々は、全員、自分がお子様のときがあったわけですから、「自分もそうだった。お母さんありがとう」くらい思ったらどうでしょうかね?
残業をするその人のやり方を見直す必要がまずはありましょう。しかし、評価については、部下のそういうワークスタイルを許している上司のマネジメント能力に求められるべきです。ですので、部下が残業をしたら、上司の評価が下がるという評価のしくみにしていくことをお薦めします。←だれに?
そうすると、上司は、複数いる部下のうち、仕事の速い人に、遅い人やそのために残業しがちな人の仕事を割り振ることにして、難を逃れようとします。この場合の「難」とは、自分の評価が下がることです。
それは、ダメです。なぜなら、これをやってしまうと、仕事を効率的に進めて努力している仕事の速い部下に対するペナルティになるからです。
つまり、さっさと仕事を効率的に進めると、仕事が増やされる、ということになります。大変です。
だったら、ダラダラやって、たまには、用もないのに残業もしといたほうがいいだろう・・・という発想になります。
では、上司はどうすべきか?
ふっふっふ、いい方法があるんですのよ、奥さん。←だれ?
それはですねぇ、まずは、仕事の遅い部下の仕事の仕方を徹底的に観察することです。
はい、まずは、観察。
そして、なぜ、不要な時間をかけているかについて研究します。
だいたい、考えられるのは、いくつかに分けられるのではないかと思います。
たとえば、
1)担当している仕事の優先順位がわかっていない。
そのため、先にやらねばならない仕事に先に手をつけず、まだやらなくてもよい仕事を先にしてしまうというようなことをしていることがあります。
また、ひとまず、しなくても済みそうな仕事もあるはずです。これは、たとえば、自分の業務範囲ではないのに、別の人が間違えて依頼してきた、というような場合です。これは、速やかに、違うと言って依頼を返すことが考えられるでしょう。
2)しなくても結果に影響しない手順を多く踏んでいる。
「念のため」、あるいは、無能だと思われないための理論武装として、不要な資料を付けたがったり、しなくてもよい確認方法をしたりします。
そのひとつの仕事の肝が何なのかがわかっていない場合は、ポイントのみ確認せずに、不要なところにまで力点を置いてしまうことがあります。そういう場合、しなくてもよい作業に時間を使っていることがあるわけです。
3)指示を正確に理解しないまま、着手して、提出して、指示を誤解していたことがわかり、再度、はじめからやる羽目になっている。
上司に対する遠慮などから、指示をよく理解していないのに、「はい」でやります、という姿勢をとってしまい、やりきってしまってから、「頼んだことは、そうじゃないだけど」とか言われる場合。すべては、ムダだったのでした。
これのバリエーションとしては、自分がさらなる部下に作業指示をしておきつつ、その部下に対する指示が不明瞭であったために、思ったような仕上がりになってこない場合や期限を相手がわかっておらず、いつまでもなかなかできてこない、ということもあります。
いずれも、基本的なコミュニケーションができていないことが理由です。確認を避けようとする姿勢が、こういったムダを産み出していると考えられます。
4)自信がないから、果てしなく何度でも確認をする。
あらあらでも出来上がったら、誰が別の人の目にさらす方が、別の視点からの意見や、場合によっては、3)だったという誤解も早めに解けるので、効率的だと思うのですが、バカだと思われないために、完璧なものを自分一人で何度も何度も作りなおしたり、確認したりすることに時間をかけてしまう場合ですねぇ。
で、結果的に、1)でもあり(そんなに時間をかけて正確な仕上がりにまでする必要がなかったと後でわかるなど)、2)でもあり(確認を20回もするのは、ムダです)、3)でもある(上司は70%の仕上がりでいいから、と言っていたなど)で、無駄な時間と作業をしてしまったことに後から気が付くのでした。
それで、上司は、そういう観察能力がない人がなってはいけません。そこも、重要です。
それと、記事の中にもありましたが、ポストに見合う能力を備えていないのは、OJTとかいうやつが機能していない組織の問題だと捉えるべきではないでしょうか?
もちろん、本人も能力不足なのに努力をしていないということはあると思います。しかし、女性の部下に対しては、遠慮して指導なりをしないために、ポストに見合う能力を備えていないことを本人が知らないのではないでしょうか?知らないのは、自分では気が付きにくいのですから、誰かが教えてあげるしかないのではないかと思うのです。
また、部下の能力については、上司の評価にすべきです。必要な能力を持てるような指導をする能力が上司にないわけですから。
そうやって、部下のワークスタイルを丁寧に観察し、やり方にまでアドバイスしていくことは必須のように思います。
そうすれば、さっさとやって残業しない部下が、ペナルティを受けることはなくなり、モチベーションの低下も防げるのです。
そして、組織全体として、WLBが達成されるのではないでしょうか?
ま、もとに戻りますが、長時間労働ができる人を優先的に採用したりするから、ダメなんだと思います。そこを誰かが教えてあげてください。
やや熱く語ってしまってすみません。そういえば、今日は季節外れで暑い日でしたね。
2つ目の感心した点は、ワーキングマザーのために、職場に保育園を作るセンスですね。信じられません。職場が住まいと近ければいいのでしょうが、大都市で働く人たちは、職住近接とは程遠いのが現状です。
それですと、小さい子どもも職場の保育園に行くためには、親やよその大人と共に通勤電車に乗らねばなりません。ありえませんね。
混雑で、潰れてしまいます。
郊外の住宅(マンション)などの低層階(1階とか2階)に、保育園を必置することを、建築基準法に定めてはどうでしょうか?
あるいは、保育園を開設しているマンションは、税金を安くしてあげるといいと思います。そうだ、そうしよう。
そうすれば、上の階層に住んでいる人が、朝、お子様をビルの下の保育園に預けて、その後、出勤することが可能です。帰宅は、残業なしで、買い物などして戻ってきて、ヨルゴの支度をした後に、お子様を迎えに行けばよいのです。ヨルゴ製作中に、お子様がまとわりついてきませんので、手早く、かつ、危険がなく、ヨルゴが出来上がります。
職場に保育園を併設すると、たしか、助成金などが厚労省から出ていたかと思いますが、これを、マンションに助成金として出してはどうでしょうか?
厚労省は、児童虐待の防止や児童福祉を所管する担当省でありながら、小さいお子様を大人と一緒に長時間通勤させるなんて、やや、どうなのかしら?と思います。
今後、わが町わが市のまちづくりなどに市民参加なさる方々は、ぜひ、「住まいの階下に保育園を作ろう」運動を繰り広げてはどうでしょうか?
そういうマンションを新築すれば、小さいお子様のいる家族や、これから、お子様が生まれる予定の若い世代のご家族が引っ越してくるため、そのマンションがある地域は、活性化が期待できると思います。
お子様を安心して預けられるため、ワーキングマザーも安心して能力を発揮でき、出世もするので、年収も上がり、納めてくれる税金もアップ、アップで、こんなに素晴らしいことはありませんよ。
そして、長時間通勤ができない地域のワーキングマザーの方々の中から、有志の方々には、マンションの1階に開園した保育園で、保育士として働いてもらうとよいのではないでしょうか。
もちろん、保育士の待遇を改善してくださいよ。
そうすれば、パートで年収103万円以下に働いて、税金を納めない方が減ります。
市の財政も基盤がしっかりしてきますので、より一層発展的な市政を進めていけると思います。
今後、新築マンションを計画する際には、ぜひ、1階か2階には保育園を開設してください。計画段階から構想しておけば、保育園の開園基準を満たしておくことが簡単です。
そして、税金面などでの優遇をしてあげるといいですね。
こんなすばらしいアイデアなので、実は、すでにもうどこかでやっておられるかもしれません。どなたかご存知でしたら、教えてください。
好事例として、広く発信すべきでしょう。
(その2(ここ)につづく)
« ノルウェー大使館での出版記念シンポジウム。 | トップページ | ネコ柄のねこさんとか。 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 日本に住んでる世界のひと 読書日記(2023.01.09)
- 『告白 岐阜・黒川 満蒙開拓団73年の記録』(2022.03.13)
- 久しぶりに、読書感想(2021.09.27)
- 息の長い運動に(2020.07.24)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 息の長い運動に(2020.07.24)
- 「国立大学の潰し方 (7つの行程)」が秀逸なので、紹介。(2018.06.17)
- 権力の腐敗について考えさせられます。(2018.05.29)
- 開拓使官有物払下げ事件(2018.05.05)
「社会のしくみを学習。」カテゴリの記事
- 映画「グリーンブック」(2019.03.26)
- a stay-at-home parent は「手伝う」ではありません。(2018.06.22)
- 「国立大学の潰し方 (7つの行程)」が秀逸なので、紹介。(2018.06.17)
- 原爆の日(2017.08.06)
「勝間和代さん」カテゴリの記事
- スーパーホテル(2013.08.01)
- 宇都宮餃子は、ちょっとしょっぱかったです。(2013.03.17)
- やせる!というか、やせた!では?(2012.10.22)
- からだを鍛えると、いろいろ成果も上がるんだったら。(2012.05.03)
- 次世代に熱烈に伝えたいものがありますか?~少子化対策と、次世代育成の欲望について~(2012.05.07)
「働き方・働かせ方。」カテゴリの記事
- 日本に住んでる世界のひと 読書日記(2023.01.09)
- 4月の所感(2022.04.30)
- 久しぶりに、読書感想(2021.09.27)
- 3月もあと2週間を切りました(2021.03.19)
えふさん
ご意見に賛成です。まず「悪いのは男?女?」という問題の建て方の貧しさ。暗黙に 性別の対立を問題の基に考えるのは、確かに全く無意味です。この問題に取り組もうとするジャーナリストが、まだこういった意識レベルなのはがっかtりですね。「女性は何故出世しないのか?」の回答は日本企業の経営慣行の特質が女性の活用を妨げているからです。長時間労働もそうですし、より一般には時間管理を雇用者に任せず、企業自体が人をモノを管理するように管理しようという考えです。でも人はモノではなく思い通りになりません。欧米では人を人を見るので、やる気を出させるには成果や業績に見合う報酬を出すというやり方が普通です。でも、日本は成果・業績主義は、職場に競争をもたらすとして嫌い、人がモノのように使えるかどうか、たとえば文句を言わずに恒常的に残業するか、命令系統を遵守するか(上司の命令に従順か)、私事を仕事に絡ませないか、など「滅私奉公」を規範的に強いるやり方が普通で、それはまるで軍隊の規律管理のようです。最近は例外として、国の少子化対策への協力の意味もあり、女性の育児休業には協力的な企業も出てきましたが、男性には認めません。でも、その程度のでは家庭との役割葛藤が男性より遙かに大きい女性がワークライフバランスを計れるわけもなく、結局従来の男性の働き方を強いられる総合職は望まず、また多くの女性がが育児離職する選択をします。また職場にとどまっても管理職昇進を望みません。それを人事担当者は「女性はやる気がない」と見るのです。すべて既存の経営慣行が生み出していることなのに。もともと日本の企業は自己犠牲を強いる風土があり、それを制度化した経営慣行があることが問題ということです。女性に限らず、多様な人びとの能力を十分引き出そうとしたら、多様な働き方の選好に見合った形で、やる気を出すインセンティブを与えねばなりません。欧米企業の大多数がそれを達成する経営慣行を持つに至っています。でも日本企業は皆一律に一つの型に押し込めることを好み、ダイバーシティは嫌うのです。女性にしろ、外国人にしろ、これでは「出世しない」のは当然です。
あと、具体的な時間管理方法も興味深く拝見しました。また、「郊外の住宅(マンション)などの低層階(1階とか2階)に、保育園を必置することを、建築基準法に定めてはどうでしょうか? あるいは、保育園を開設しているマンションは、税金を安くしてあげるといいと思います。」 は、グッド・アイデアだと思います。 実際、法でどう推進するかは、いろいろ選択の余地はあるでしょうが。
投稿: 山口一男 | 2011年10月17日 (月) 10時45分
山口一男さん
ご丁寧なコメントありがとうございます。
特集記事の問題の捉え方、立て方には、大変問題がありますね。しかし、こういう男女の対立構図は、読者の気を惹くために必要で、そういう社会に生きているのかもしれません。この号、どのくらい売れたのかわかりませんが。
他にも、たとえば、データを示したり有識者の声を紹介している記事においても、問題点をもっと明確にした方が、わかりやすいかもしれないと思いました。
たとえば、「意識ではなく、社会構造として捉えることが必要」とか。
ところで、日本の雇用慣行については、これこそ、「モーレツ社員」時代の香りそのままの経営トップもまだまだおられるということなのですね。
叩き上げの方がトップに就いて、自分の若い頃のように部下たちを働かせているのでしょうか。時代は変わっているのに。
時間管理を雇用者に任せないという点ですが、これは、1日に何時間働くかという意味の1日当たりの労働時間の決定ということと、ある仕事にどのくらいの時間をかけるかの1仕事当たりの労働時間の決定ということの大きく二つに分けることもできるのではないかと思いました。
それは、前者においては、企業が雇用者を管理しようとしているのだと思います。つまり、長時間労働を当然としたり、短時間勤務を認めないというようなことです。
しかし、後者においては、むしろ、雇用者に任せ過ぎ、もう少し上司なり、組織全体(企業)が時間管理をしたほうがいいのではないかという気が私はしています。
どういうことかと言うと、元の記事にも書きましたが、与えられたある仕事について、仕上げるべき期限はあるのでしょうが、それにかけてもいい時間をもう少し明確にしてもいいと思うのです。それは、つまり、「これは○○時間で完成させてください」と指示するというような意味ばかりではなく、持てる時間の全てを投入させないように、①余計な作業手順を踏まない事、②求められている完成度を明確に言うこと、③そのために、その仕事の目的をきちんと理解させること、などが考えられると思います。
そうすれば、「対外的に発表する文書だから、丁寧に誤字のチェックをする必要がある」とか、「内部での打ち合わせ用に、何もないよりは、ペーパーがあったほうがいいから、わかればよい」などと、文書の完成度に対する注意と時間とエネルギーの投入量を判断することができるように思います。
私は、「これは、そんなに時間をかけなくてもいい仕事だから」と一言あるかどうかというようなことをイメージしているのですが、限られた経験からは、そういう指示をしている人は少ないように思います。
全体として、長時間労働ができる人が尊ばれる理由は、仕事を短時間で進めて終わらせるマネジメント能力が企業そのものにないため、「念のために」待機してくれる社員や、指示がうまくないために何度もやりなおさせたりする使い方に一緒に右往左往してくれる社員が必要だからではないかと思っています。
もちろん、職種によっては、自分のペースで進められないものもいろいろとあるとは思いますが。
すでに禁止されているのかどうかよく知らないのですが、「残業できますか?」というのを採用に関する面接で聞いてはいけないことにしてはどうでしょうか?
あるいは、先進的な企業には、早く帰りたい動機と出世意欲が強い人を優先的に採用することもお薦めです。全員で、いかに合理的に仕事を進めるかが共通の関心になると思われるからです。
残業しない人を出世させるための評価基準を作ってもいいかもしれません。残業しないで業績を出せる方が投資(給与)が少なくて、リターンが大きいですから、企業(営利を追求しなければならない)として正しいです。
また、熱く語ってすみません。
保育園併設マンションというのが、実際にあるようです。ただし、マンションの住人だけに保育園があるわけでもなく、マンションに住んでも必ずしも保育園に入れるわけでもないというところもあるようです。
少し調べてみたいと思いました。マンションに入居すれば、全員が保育園に入れるというところをたくさん作りたいものです。
投稿: えふ | 2011年10月17日 (月) 20時43分
えふさん
仕事の時間管理については、専門ではないのですが、川本裕子さんとか、勝間和代さんの時間管理についての本はなかなか面白かったです。ただ、個人ができる時間利用の能率化とは別に日本企業特有の問題もありますね。分業の分担がはっきりしないので調整に時間がかかるとか、意思決定は多くの人の和を重んじるので時間がかかるとか、初動のコミュニケーションが曖昧だっため、するべき仕事の内容が正確に伝わらず{伝えられたほうも確認せず}、やり直さねばならないとか。アメリカでの仕事と異なり、日本は以心伝心をを良いと考え、言葉足らずのため、かえって非能率になるということも有ると感じます。内部的なものなど決められた時間内で最良にし、えふさんのおっしゃるように、これにはこれぐらい時間をかけるという標準も重要です。会議は長くとも2時間以内で、意思決定をするとか(すべてというわけには行きませんが、関連資料の用意が簡潔でかつ要を得ていれば、95%の意志決定は1時間もかかりません)。重要決定事項が複数あっても2時間有ればアメリカでは通常充分です。一方、日本の会議が延々と続いたあげく、結論持越しが多いのは「有名」です。会議が意思決定のためでなく、後で誰からも文句を言われないために(あれだけ議論して決めたものだ、とか)している気がします。その分、私生活とか家族とのの時間が犠牲になることには無頓着なところが、和を重んじるといっても、あくまで仕事組織の和に偏重しているところが日本の慣行なんですね。その分個人の自由が狭くなっているのですが、それに慣れている人たちは気が付かないのでしょうね、きっと。
投稿: 山口一男 | 2011年10月18日 (火) 22時44分
山口一男さん
コメントありがとうございます。
時間管理、勝間さんの御本は私も読みました。必要に迫られた人が時間をやりくりすることに優れて行くことはよくわかるのです。
が、今の雇用慣行では、個人の時間を大切にすることがあまり意識されず、そのために、時間をどうすれば上手に使えるかという問題意識が希薄なのでしょうね。
一度も、自分の自由の範囲に疑問を持たずに生きていることも、現代日本社会では、さほど珍しいことではないかもしれません。
反対に、自分の自由の範囲を重んじる価値観の人のことを、変人扱いするようなところはあるかもしれませんね。「和を乱す」とか「気難しい」とか。
価値観の違いを尊重しあうことができるのがベストですが、なかなか難しいことです。
投稿: えふ | 2011年10月22日 (土) 21時54分