精神的なDVを学ぶのに、格好の教材
『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた』
アメリカ南部の片田舎。
ウェイトレスをしながら、創作パイのコンテストで優勝することを夢見るジェナの話です。
最初は、ジェナが作るパイのおいしそうな見た目に惹きつけられますが、彼女の家族である夫との関係などを見ていると、とても息の詰まる内容なんですYO。
望まない妊娠も、相手は夫。
夫は妊娠が進んでくると、子どもが産まれても、自分を一番に優先するような約束をさせます。
まったく気持ちのない結婚と、妊娠。
でも、妊娠を止めることもせずに、産むことは決意する中絶の許されない状況とか、子どもにもほとんど愛着を感じないと言い放つ感じとか、母性に期待の大きい人から見ると、もしかしたら、許せない態度かもしれませんが、ジェナにとっての本音をしっかりと描いています。
同僚のウェイトレスとして出演もしているエイドリアン・シェリーは、監督もする才能溢れる女性だったそうなのですが、映画公開前に殺されたそうです。
ストーリー展開は、たぶん、才能溢れるフェミ系の女性監督でなければ描けないような、そういう作品のような気がしました。
享年40歳だったそうです。
惜しい才能を失ってしまいました。
殴る、蹴るといった物理的、身体的な暴力をDVと認識することは、比較的容易でしょうが、ここで描かれる夫婦間の精神的、性的な暴力をDVと認識することは、難しいのかもしれません。
でも、これこそが、夫が妻を支配する、自分の言うとおりにさせるために、言葉や態度で行っているものだという気がしました。
愛情がない夫でも、自活できる経済力がないから一緒にいざるをえない、というジャナの置かれた立場は、国や歴史を超えて、DVのある関係の下にとどまらざるを得ない女性たちに共通するものかもしれません。
楽しいストーリーというわけではないですが、すごくよいです。
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