金品を盗むつもりが、人生を盗むことになるおかしさを芸達者たちが魅せる~鍵泥棒のメソッド~
(ネタバレがありますので、ご注意)
35歳の売れない役者(堺雅人)は、銭湯で会った知らない男性(香川照之)から、ロッカーの鍵を盗みます。
生活に困っていたので、金品を盗もうというそれだけの目的だったのですが、風呂場で石鹸に足を滑らせた男性が、思い切り頭を打ってしまったことから、思いもよらない展開が始まります。
病院に運ばれた男性は、特に問題はないと診断されますが、強く頭を打ったためか記憶をなくしてしまいます。自分が誰だかわからない、名前も職業も思い出せないというのは、本当に大変なことですよね。
裸になったところで滑ったわけですし、脱いだ服や所持品を入れていたロッカーの鍵は、金品を盗もうとした人に交換されているわけです。
ですので、本当は自分の衣服でもなく財布でもないものを身に付け、名前も別人の名前を自分の名前と思い、老朽化が著しいアパートへ戻る(行く)ことになります。
一方、財布からお金がもらえれば、たぶん、それでよかったのに、盗んだ荷物にあった免許証などから住所地に行ってみると、それはそれは立派なマンションの立派な部屋にたどり着きます。
こうして、思いもよらないいくつかの偶然が重なった結果、二人の男性は、それぞれの生活を交換するようにして、相手の人生を生きるようになってしまいます。
記憶が戻らないまま、自分が何者かを把握しようと懸命に努力し、わかってきたことをノートに几帳面にメモしてみると、自分がかなり貧しく、所持金もほとんどなく、まずは、お金を稼がなければならないということに気が付き、単発のアルバイトに出かけたりし始めます。
そんなこんなで、おかしな交換生活がどんどん進んでいくんですが・・・。
広末涼子演じる編集者の女性との関係や、リッチな生活を送る本当は記憶を喪失した男性の職業がわかってきたりして、いろいろ複雑な状況になっていきます。
この作品は、この人には、三谷幸喜の作品を彷彿とさせるところがありました。
最初、三谷作品なのかと思ったくらいです。
何かと言うと、『ザ・マジックアワー』に、なんとなく似ています。
堺雅人、香川照之、広末涼子を始め、他にも、芸達者な役者さんたちが脇を固め、演技には安定感があります。
それまでは、全くの他人の生活を、ある日突然始めてみることになるこんなことは、誰の身にも降りかかることは、ないとは思いますが、こういった交換生活を通して、自分の生き方も考える機会になっています。
途中から、記憶を取り戻した男性が、知らないうちに巻き込まれていたトラブルを解決するために二人で協力するところとか、ともかく、全体的に、おかしかったので、また、観てみたいです。
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