世間は、GWに突入しました!
最近、世間とは異なる時間に生きているような気がします。
土曜は仕事でしたので、気が付くのに遅れましたが、すでにGWに入っているのでした。
あと少しでなんとか完成を見そうな仕事と、書かなければならない書類と、決めなければならない引っ越しのスケジュールと、様々なことを組み合わせて行こうとして、難易度の高い調整をしています。
が、なるようにしか、ならないです。
今日は、これを借りてきて読みました。
夜になって気が付きましたが、チェルノブイリ原発事故から、今日で28年だそうです。
1986年4月26日、遠いチェルノブイリという初めて聞く場所で、原発が爆発したと聞いて、そして、放射能が飛んできているとか聞いて、まだかなり若かったこの人(=私)は、この先、どうなるんだろう、と暗澹たる気分になったことを覚えています。
今はなきソ連時代、そんな事故があったことも、すぐには情報公開されずに、そして、ヘリから原発の様子を撮影したフィルムが濃度の高い放射能に感光してしまっている映像を見つつ、作業に当たった人たちが亡くなったり、二度と戻れない故郷を捨てて強制移住されたり・・・。
『プロメテウスの罠6』では、栃木県にある中禅寺湖の魚の汚染が懸念され、釣りのメッカだったのに、釣った魚を食べさせることも持ち出すことも許さない「キャッチ・アンド・リリース」による解禁が徹底した管理の下に行われた様子なども詳細に書かれていました。
人間が住まなくなった原発の立地町の、無人になった家が数か月でどんなに荒れてしまうのか、また、人間の気配がない地域で、里山までしか出てこなかったイノシシが、どんどん浜辺のほうまで出てくるようになったこと、産まれてから人間を見ていないイノシシの子どもがどんどん増えていること、家畜だったブタが放置され、イノシシと交配して産まれたイノブタが増えていると懸念されること。
単行本になってからまとめて読んでいるので、少し時差がありますけれど、他ではあまり知ることのできないことを多く知りました。
この地区で、唯一だった司法書士の女性が、多重債務の相談者のために、自分が避難者であるにもかかわらず、孤軍奮闘して、債権者に債務の減額をかけあう様子とか、認知症の高齢者の後見人として、各地を飛び回る様子とか。
自分が支援されなければならない状況にも、なんとか、より困った人のために尽力する人たちがおられるのを見て、感銘を受けました。
もう帰郷できるレベルにまで、放射線量が下がる見込みがないと知り、当初は反対していた中間保管施設の設置に賛成すると決めた女性たちの現実に対する合理的な態度とか、こういうことがなければ、たぶん、「ふつうのおばさん」だったかもしれない人たちが、望まずにいろんな対応を迫られ、悩み、決断する様子もわかります。
原発問題、すぐには答えの出ない難しい問題ですけど、放置してきた結果が、チェルノブイリを経験したのに、「原子炉の形が違うから大丈夫」とか「日本製のは大丈夫」とかって、勝手に安全神話を作り上げて、こんな事態を起こしてしまいました。
原発政策の初期のころは、まだ大人でもなかったので、責任を問われても困るのですが、その後、それを知りながら、このまま来てしまったことは、20歳以降の年月に関しては、言い訳できないように思いました。
20歳になる前から、賛成していたことはないんですけどね。
でも。
どうにかする方法があったのでしょうか。
そして、海外に売ろうとしている今、それは、それでいいんでしょうか。
疑問と、無力さを感じてしまいます。
暗い〆ですね。
それだけのことが起きた日ですから、当たり前か。
【2014.4.27追記】
『プロメテウスの罠6』、読了しました。
福島第一原発の問題が、津波ではなく、地震が起きた時点ですでに電源を喪失していたのではないかという疑いを、元社員で技術者の方が検証する内容でした。
津波なら、今度から、もっと高いところに非常用電源を置くようにすればいいわけですが、地震が原因だとされてしまうと、津波対策をしてもダメなわけです。また、大きな津波が来ることが予想されない地域にある原発も、アウト。
なぜなら、地震が来ない地帯が、日本にはないからでした。
それなのに、再稼働しようとしているという・・・。
これを直視しないと、いかんと思った次第です。
それと、この巻には、紙面では連載されていなかった座談会が収録されています。これも、単行本になったからこそ読める特典でしょう。
どんどん忘れてしまう雰囲気の中で、避難し続けている方々の思いを、違う立場からどういう風に理解することができるのか、考えさせられます。
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えふさん、おひっこし!
この頃気持ちばかりが焦って、落ち着いて本を読むことがないのですが、3.11直後から1年ほどは原発関連の本を集中的に読んでいました。
事故直後、福島県の知事さんが「東京の電気はここで作っているんです、福島ではいっさい使わない電気を」のようなことを怒りを込めて発言していらっしゃったのです。
そのときは、なんか唐突な発言だなぁと思ったものです。
しかし、さまざまな本を読むにつれ、都市と地方、大企業と零細企業、霞が関と町(村)役場の立場の違い、そしてそれに巻き込まれてきた原発立地地域の住民の方たちの、理想と現実の差に、初めて気付いたのでした。
チェルノブイリやスリーマイルは、所詮わたしにとっては遠い国の出来事でした。
原油や天然ガスの輸入がどうの、再生可能エネルギーは不安定だからどうのこうの言ってますが、核廃棄物処理問題1つだけで、原発を止める理由は十二分だと思います。
それなのに、海外に原発売るなんて、また、買う国があるなんて、驚きです。
廃炉作業に必要な人員の確保もだんだん難しくなってきていると聞きました。
自分が政権を担っているときだけ調子(景気)よければそれでよしと思っている、政治家ばかりです。
ああ、次の国政選挙はどの党にいれるべきか・・・
投稿: miauleuse | 2014年4月27日 (日) 19時02分
miauleuseさん、レンキュ~
いろいろ気忙しくお過ごしのようですね。
私は今日は読書に没頭しました。ちょっとだるくて、ごろごろしつつ、いくつかの本を読んで満喫というか。
そして、『プロメテウスの罠6』を読了。昨日の記事に追記しました。
作業員も、どんどん減っているんですね。問題は、技術や現場のわかる人がどんどん減っていくことです。
廃炉にしろ、廃棄物にしろ、人間の寿命を考えると、一代、二代では到底始末できないですから、次世代に思いも、技術も引き継ぎつつ、長期的に対応するしかないと思うんですが。
でも、こんな作業だけのために、原子力を学ぼうとする若者を見つけてくるのは難しそうです。
選挙、同じ悩みはありますが、よりよい党や候補者がいなければ、よりマシなほうを選ぶしかないかな~と思っています。
投稿: えふ | 2014年4月27日 (日) 22時11分