今月読んだ本の一部(6月)
刊行された当時は、きっと、もっと注目されて話題になっていたのでしょうが、流行りに疎いこの人(=私)としては、最近、何かで見かけて、興味をもちました。
それで、すぐに読むことができたのが、この2冊です。
あ、思い出した。
ネットニュースやその他の記事などを読んでいるときに、この税所さんが、どこかで講演をしていて、そのプレゼンがおもしろい展開のさせ方だったんです。
どうして、国際協力というか、途上国の教育支援(ドラゴン桜とご本人たちは行っているのですが)をすることになったのかのきっかけが、大学に入って初めてできた「彼女」に、ふられる際に言われた一言だったとかいうことだったんです。
でも、おもしろいのは、それを発端として、話を展開していく展開のさせ方ですね。
グラミン銀行で有名なユヌス氏に会いに行ったりして、構想を話すと、ユヌス氏は、「前へ、前へ、前へ」と言ったらしいのですが、あとから、ユヌス氏は、それが口癖だということがわかったというオチをつけてくる辺り・・・。
現地で教えるのがとてもうまいと評判の受験塾講師のDVDを無事に制作することができて、それを使って勉強し、難関大学に入学することができるようになった成功を説明したあとで、最初の「ふられた彼女」との関係はどうなったという話に戻って、「どうにもならなかった」というオチをつけてくる辺り・・・。
そんなんで、おもしろいです。
ICTの技術を用いることで、貧しい村で学費が出せないから進学できないもともと優秀な生徒たちを、廉価な費用で勉強させることができ、さらに、難関の大学に合格させるだめの学力をつけさせることができるという発想・・・。
たぶん、他にも、ネットを使った通信はいろいろとできることが、まだまだあるはず、と思いました。
これも、いまさら読むんだ感のある著書ですが、当時は、かなり騒がれてましたし、もともと、『日経WOMAN』に連載などもお持ちでしたので、その一部分を読んだこともあったんですけど。
こうやって1冊にまとまったのを一気に読むのは、なかなか別の味わいがあるものでした。
特に、障害者支援施策でのお仕事が有名なので、それをずっと長く携わってこられたのだと、この人も思っていたのですが、読むと、もともとは、女性で労働行政をやってこられた方と同様に、男女施策というか、均等行政などのほうが、ずっと長くお詳しいのですね。
そこで、すでに手元にないので、うろ覚えですが、長年、別の分野だとしても、積み重ねてきた経験があると、違う分野に行ったときには、0からの出発ではなくて、それまでに培ってきた経験が下敷きになって、深みと幅をもたらすという趣旨のことに、感銘を受けました。
たしかに、公務員の仕事は分野としては広領域ですが、方法論としては、違う分野の仕事で使っていたことが、けっこう使えることがあるのでしょうね。
そんなことで、あの事件についても、ご家族の支えについても、ご本人の仕事だけに限らない生き方の姿勢のようなものについても、学ぶことができ、とても勉強になりました。
これは、雑誌『anan』の1970年創刊から近年に至るまでの、セックス特集の描かれ方と変遷について、分析や考察を試みたものです。
世相というか、女性の生き方というか、女性のセクシュアリティというか、そういうことが、40年以上にわたって振り返られ、なんとなく、「前よりは、今のほうが進歩している」と思ってしまいそうな、こういう話題でも、発刊当時の勢いのある、気負いのある、自負のある特集面のあり方が、時代を下るごとに、だんだん、保守化、だんだん、女性の自由ではなく、一般女性のプロ化への変遷をたどっているような感じになってきて、その分析に妥当性を感じるからこそ、う~ぬぬぬ、と唸ってしまうような読後感をもちました。
そして、時代だけではなく、世代的にも、現在のアラフォー以上バブル世代くらいの女性たちが求めていたものと、アラサーくらいの人たちの欲求の少なさみたいなことも書かれてあり、本当かどうか、この人にはよくわからんのですが、今時の若いモンの「草食化」っていうのが、やはり、そうなの~?という気もしてきたのでした。
「冬ソナ」には、何も思わなかった北原さんが、その後の「チャングム」では、夢中になり、どんどん韓流にのめりこんでいくところが、興味深かったです。
一時は、中高年の既婚女性たちがおかしくなったかに騒がれた韓流ブーム、でも、韓流を自分でもいろいろ経験して、韓流スターたちの魅力を考えてみたところが参考にはなりました。この人自体は、「冬ソナ」は2話目(まだ主人公は高校生)でギブアップし、「チャングム」も長そうで怯んでしまい、その後、ほとんど韓流ドラマを見ないでこれまできてしまいました。
韓流ドラマを女性学の視点で分析したシンポジウムなんかは聞きに行ったのですが、やはり、それだけでは、なかなかこの現象を理解できず・・・。
そんなんで、韓流との距離感がつかめないままに、いまだに、K-popもよく知らないし、集団でいる人たちのことも顔がわからない体たらくですが、でも、けっこう大人な日本女性たちが韓流スターを応援する気持ちは、なんとなく、少し教えてもらえた気がしました。
日本の男性アイドルとの体格差についての言及・考察なんかは、なるほど、と思ったんですけどね。
これは、なかなか読み進むのが難しい部分もあるものでした。
右翼の一般的なイメージ(比較的年齢の高い男性が中心、多様性がない、宣伝カーにデコレーションがマストアイテム、女性はいない)とはかけ離れた若い、小さい子どもを連れた女性たちが、わかりやすい言葉で「愛国活動」をしている事実にどう向き合えばいいのか。
潜入取材までして、いろいろとコミュニケーションをとってみた著者は、すごいなと思いました。
しかし、すっきりと説明するには、まだ時間がかかりそうです。
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