ォレも、昔はネコで、大した活躍もしたもんだが。

ネコ：・・・ぉぃ、ォマェ

おじさん：・・・・・・

ネ：ォマェ、ぉぃ。

お：ん？なんだ、ねこか、真っ白なヤツだな

ネ：ォマェ、何しとる？

お：・・・いやぁ、昔を思い出しとったんだ

ネ：昔？？

お：そうだ、おれも、昔は・・・

ネ：にゃんだ？

お：オレも、昔は、猫で、大した活躍のひとつも、ふたつもしたもんだったが

ネ：・・・・・・

お：・・・どうした？寝たのか？

ネ：いんにゃ

お：どうしたんだ？

ネ：・・・えっと、ォマェは、人間のおじさんという種類じゃないかと思とった

お：・・・ぉー、よくわかるなぁ、やっぱり、ォマェもなかなかの猫じゃのう

ネ：・・・ネコだけど

お：人間で、今じゃ、おじさんと呼ばれとるよ

ネ：ふ～ん

お：どした？

ネ：さっき、昔は猫だったようなこと、言った？

お：ぁぁ、そうだよ。ォレも、猫だったときには、縞があって、立派なヒゲと長いしっぽが自慢だったもんだ

ネ：・・・今は、人間で、おじさんにゃんだ？

お：ぁぁ、そうだよ、何度も聞くなぁ

ネ：にゃんで、猫だったのに、人間でおじさんになった？？

お：よくぞ聞いたな、猫よ

ネ：ネコだよ、にゃんだって呼ばれとる

お：みゃんだよ

ネ：にゃんだ、だよ

お：まぁ、いい

ネ：・・・・・・

お：ォレも、若いときには、よもや自分が人間のおじさんになるなんざ、考えたこともなかった

ネ：若いとき、猫だったの？

お：そうだ

ネ：にゃんで、おじさんになった

お：それは、誰だって、生きてればおじさんになるもんだ

ネ：・・・そうだけど、人間のおじさんになる猫はそんなにおらん

お：ま、そうだな、猫初と、当時は言われたもんだ

ネ：有名な話なの？

お：そうでもない

ネ：ふ、ふ～ん、

お：ま、知る人ぞ知るっていうか、知る猫はローカル

ネ：コミュニティ新聞に取り上げられるくらいの？

お：そうそう

ネ：ふ～ん

お：ま。なんで、おじさんになったか、だったろう？？

ネ：うん、

お：にゃんだよ

ネ：ん？

お：論点を見失うなよ

ネ：・・・・・・

お：・・・一言でいえば・・・

ネ：にゃんだ？

お：・・・油断、だな

ネ：ん？

お：どうした？

ネ：・・・油断すると、猫は人間になるのか？

お：にゃんだよ、違うぞ

ネ：そうか

お：油断すると、猫は人間のおじさんになるんだ

ネ：！

お：わかったか

ネ：・・・・・・

お：くれぐれも、油断するなよ

ネ：ぅ、うん

お：・・・よし、ネコを全うしろ

ネ：ぅ、うん

お：・・・・・・

ネ：あ、あの、

お：なんだ？

ネ：もし、油断したら、

お：うん？

ネ：メスのネコも、人間のおじさんになる？

お：そうだ、そこが、やっかいなところだ

ネ：ヒー

お：・・・ま、油断しなければ、大丈夫だ

ネ：・・・そんな簡単なこととは、思えない

お：ま、ともかく、これから、おじさんの猫自分の活躍譚を聞かせてやろう

ネ：・・・・・・

お：にゃんだよ、大丈夫か

ネ：・・・・・・あんまり大丈夫じゃない

お：そうか

ネ：うん

お：・・・じゃあ、今夜は寝るか

ネ：うん、でも、活躍譚は？

お：まぁ、ショックがおさまってからでも、遅くはないだろう

ネ：うん

お：・・・しっかりするんだぞ

ネ：う、うん

お：じゃあ、またな

ネ：ぅ、ぅん