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2020年5月15日 (金)

どこにもいない私。

Photo_20200515194701

 

 田中美津さんの代表作に、どこにもいない私、どこにもいない女性のことが出てくる。

 小説ではないが。

 マジカルグラマという語は、マジカルニガーから着想を得た言葉だとのことだが、どこにもいないおばあさん、という意味くらい。

 「かわいくて、愛されるおばあちゃんになりたい」とかいう人がたまにいるが、こういうのをマジカルグランマというのではないかと思う。

 ステレオタイプと言ってもいいのかもしれない。

 75歳の正子は、結婚前の若い頃に女優をやっていて、監督と出会い結婚した後は、子育てなどして、家庭にいたわけだが、夫とはここ5年は口を利くこともなかったという家庭内別居状態。実際、豪邸なので、夫ははなれに暮らし、顔をあわせることもなかった。

 正子は、自活する見通しを立ててから、離婚しようと、女優としての復帰にかけ、おばあちゃんの役を得るために、実際よりも老けた見た目にするのであった。

 マジカルグランマを演じたCMで一躍有名になったのに、夫の家庭内孤独死へのコメントから、好感度を劇的に下げて仕事を失っていく。

 この作品では、マジカルグランマのほかに、マジカルゲイなど、人々が作り上げる、どこにもいない存在のことがうまく描かれる。

 

 

 特に、日本では、「かわいいおばあちゃん」というのは、無害で邪魔にならず、黙ってお世話をしてくれたり、毒を吐かず、静かに微笑んでいるだけの存在のように思う。

 加齢しただけで、仏のような人格になるわけないし、そんな必要もない。

 75歳になっても、女優として注目を浴びたい人もいれば、若くても、周囲の視線などどうでもいい人もいる。

 夫が死んだあと、残した資産で自由に暮らそうとしたのに、相殺すると、負の資産がずっと多かったことがわかる。

 借金を返しつつ、もっと暮らしやすい家に引っ越したい。

 そんなことを思いながら、どんどん動く正子。

 近所の人びととも協力して、さまざまなことにチャレンジするのは痛快。

 1年ほど前に刊行され、かなりの評判を聞いて、1年くらい待って読むことができた。

 書評などの印象とは異なる感想を持った。

 正子の単なる冒険譚ではなく、マジカルグランマの語で示されるさまざまな偏見について、それも、自らの中にあるものについて、考察し、そのプロセスが書かれているところが、実際に読んで印象的だった点だ。

 この著者の別の作品も、読んでみようと思わされた。

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