久しぶりに、読書感想
いろいろあって(簡単な言い訳、省略法です!)、なかなか更新できませんが、あれこれ活動はしております。
それほど多くの読書ができているわけではないのですが、ここに紹介することは、もっとずっとやっていない・・・。
そんなわけで、久々に、少し短めに書いておきます。
本書は、タイトルのとおり、水道を民営化(※)して、しかし、うまくいかず、公営に戻すという経緯をたどった諸外国の事例をもとに、周回遅れで民営化しようとする日本の現状に警鐘を鳴らしています。
「民営化」を推進する人たちの主張は、先行事例を見ると、否定されているのです。たとえば、安くなるとか。
そして、再公営化をしたことで、以下のことが起きました。引用しておきます。
興味深いことに自治体によるインソーシングにより、賃金の上昇で人件費が大幅に増えても、多くの場合全体にサービスコストが低下することが私たちトランスナショナル研究所の調査でわかった。自治体にとって費用と時間のかかる、競争入札がなくなり、高額な企業契約の対価がなくなるためだ。地域目線のバリュー・フォー・マネーの高い政策と言える。
あるいは、「ミュニシバリズム」の精神にのっとって、多くの自治体が協力し合いながら、技術の共有を行い、インソーシングを始めたら、どうなるか。それも、水道という一分野ではなく、さまざまな分野で行えば、小さな点は線となり面となって力になっていく(pp.156)。
ミュニシバリズムの原則
1.地域政治から欧州へ
2.ロビイストに負けない町に
3.地域民主主義を育てよう
4.住宅問題を政治課題に
5.住宅の借り手と住宅ローンを持つ人々を保護しよう
6.投機的な観光産業に対抗しよう
7.難民を受け入れる町であろう
8.気候危機から目を背けない
9.空気のきれいな健康的な町に
10.水とエネルギーを民主化しよう
11.独占寡占企業は排除
12.搾取的に労働者を使うプラットフォームエコノミーを規制する
13.価値にもとづく公共調達を行う
14.倫理的な銀行を
15.多国籍企業の納税を徹底する
16.分権的で民主的な文化を
17.本物の民主主義を
18.政治を女性化する
19.党派性より目標を優先しよう
20.連携しながらネットワークとして活動しよう(pp.147)
PPPを公民連携(Public Private Partnertship)ではなく、「公公連携」(Public Public Partnership)として考える姿勢は、これからの「公」を考える上で、非常に学ぶところが多いのではないかと思いました。
新書ですから、ぜひ、一読を。お薦めいたします。
それから、まだ読めていませんが、本書中に参考文献として紹介されていた資料のひとつが以下です。
リンクしておきます。ここから(THE FUTURE IS PUBLIC)。
※本書でも、他の民営化を危惧する論調でも、Privatizationを「民営化」と訳しているが、「私物化」と正しく訳すべきではないかと思っています。そのように主張する方も、知る限り少数派ですが、実際におられます。
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